特集「演じること、歌うこと」

三浦透子、上白石萌音、清原果耶、菅田将暉、中村倫也、松下洸平……歌と演技を両輪駆動で進化させ続ける表現者たち

菅田将暉

 菅田将暉は当代きっての俳優アーティストだろう。泥臭く、どこか哀愁漂うその歌声の存在感はもちろんだがソングライティングの面でも早くから注目を浴びた。2019年の2ndアルバム『LOVE』では半数近い楽曲で作詞作曲に参加するなどシンガーソングライターとしての素質が如実に開花した。活動初期から常に様々な役柄に染まってきた彼だが、歌の中では極めて日常的な温度感の言葉が光る。最新シングルのカップリング「ギターウサギ」でも作詞作曲を手がけており、ある日曜日の心象を個性的な歌詞描写で綴っている。楽曲提供やアートワークに至るまで普段から親交が深い人々とともにある音楽活動ゆえ、プライベートな表情や素のままの菅田将暉が表出しているのかもしれない。芝居と歌、それぞれの魅力を互いが際立たせているのだ。

菅田将暉「ギターウサギ」

松下洸平

 松下洸平は元々、路上シンガーとしてキャリアをスタートし、メジャーデビュー後にミュージカルへの出演を重ねながら俳優としても着実に実力で躍進してきた。そして2021年、再メジャーデビューを果たしたという稀有な経歴を持つ俳優アーティストだ。役者としては独特のしなやかさを持つ親しみやすい声といった印象だが、歌声になると一気に伸びやかさが増し、情感たっぷりの熱を帯びる。最新曲「あなた」のようなバラードでも映えるが、「STEP!」などのダンサンブルなナンバーでも軽やかな歌唱を聴かせるなど曲調への順応力も抜群。キャリアの中で様々な発声を身につけたからこそできる表現力だ。

松下洸平 - あなた (Music Video)

中村倫也

 中村倫也はミュージカル映画『アラジン』の日本語吹替版でその歌声が注目を浴びた。色気を纏った甘い声が演技の面では耳に残る一方、「ホール・ニュー・ワールド」では無垢な少年のような歌声を真っ直ぐに響かせている。また、2020年には菅田将暉とのコラボとして「サンキュー神様」に参加。ポップスのメロディも優しく歌いこなし、ブルースのような歌い回しでもその声質を見事に活かしている。ぜひとも、幅広いタイプの楽曲提供を受けたアルバム作品などを聴いてみたいものだ。

菅田将暉×中村倫也 『サンキュー神様』

高橋一生

 高橋一生はエレファントカシマシのトリビュートアルバムに東京スカパラダイスオーケストラのゲストボーカルとして「俺たちの明日」に参加して本格的に歌手活動を開始。その縁もあって、1stシングル曲「きみに会いたい-Dance with you-」では宮本浩次が作詞作曲を担当し、カップリングではエレファントカシマシ「赤い薔薇」をカバー。彼の音楽活動からは宮本浩次との蜜月が感じ取れる。演技ではロートーンな声で個性的な人物に憑依する高橋だが、歌においては骨太かつエモーショナルな部分が全開。役柄とのギャップを楽しむことができるはずだ。

高橋一生「きみに会いたい-Dance with you-」 Music Video Full Version

山田孝之

 山田孝之はCMなどの企画で歌声を披露しつつ、2018年から2019年まで綾野剛、内田朝陽とともにロックバンドTHE XXXXXXとしても活動した。先鋭的なエレクトロロックサウンドの中で、ボーカリストとして艶のある歌声を聴かせている。その他フジファブリック「カンヌの休日」や、UVERworld「来鳥江」などにゲストボーカルで参加。華やかさとタフさを感じさせるその歌声は堂々たる風格を感じさせる。常にセルフプロデュース力に長け、映画やドラマにおいても自ら制作に携わることの多い彼だからこそ様々な分野でクリエイティビティを発揮するのは必然なのだ。予測不能な形で再び音楽プロジェクトが始動する可能性もあるかもしれない。

THE XXXXXX MV「チート」

 この10名以外にも俳優とアーティストを両立させている才能は数えきれない。その誰しもがそれぞれの持ち味を存分に表現へと注ぎ込んでいる。歌と演技を両輪駆動で進化させ続ける表現者たちが楽しみでならない。次はどんな才能が現れるのかと期待を寄せて待ちたいと思う。

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