日向坂46、2年ぶり有観客で実現した『ひなくり2021』レポ パフォーマンスの進化も感じるストイックなステージに

 話題をライブに戻そう。「My fans」から始まる後半戦の畳み掛けは相変わらず激しいものがあり、特にこの曲では火をイメージさせる赤い衣装を着たメインステージチームと、水をイメージさせる青い衣装を着用したサブステージチームの二手に分かれ、2つのステージでパフォーマンスが同時進行。曲中の一節である〈たとえ水の中 たとえ火の中も〉にちなんだこの演出は、こうしたステージ構成・演出だからこそ実現可能なもので、改めてその引き出しの多さに驚かされる。

 「キツネ」では水チームがトロッコに乗って火チームに合流し、続く「ってか」ではスクリーンに巨大なニンジンのモンスターが登場する演出も用意。映像とリンクして、金村が中心となってモンスターに攻撃を仕掛けるなど、同曲のMVを彷彿とさせる流れは非常に見応えのあるものだった。そして、「誰よりも高く跳べ!2020」でクライマックスと呼ぶにふさわしい盛り上がりで、会場のボルテージは沸点へと到達。その後、サンタクロース風衣装に着替えたメンバーが虹色に染まったフロアに向けて「思いがけないダブルレインボー」「JOYFUL LOVE」の2曲をプレゼントして、ライブ本編は終了した。

 アンコールでは「君しか勝たん」で再び会場の一体感を高めると、その後のMCでは丹生明里が「この会場でやりたかったこと」と言って、彼女が打った“かめはめ波”を起点に観客がウェーブをするなどして、会場中にハッピーオーラが広まっていく。

 すると、キャプテンの佐々木久美が3年連続で『NHK紅白歌合戦』への出場が決まったことに触れ、「ありがとうの言葉では足りないくらい、感謝の気持ちでいっぱいです。そんな皆さんにもっと恩返しがしたいなって思って、ちょっと発表があります」と話し始める。すると、スクリーンに日向坂46のこれまでのMV映像が流れたあとに「日向坂46 3周年MEMORIAL LIVE 3回目のひな誕祭開催決定!!」の文字が。毎年デビュー日の3月27日前後に開催されてきた『ひな誕祭』だが、2022年は3月30日、31日に行われることがここでアナウンスされた。続いて、気になる会場をメンバーの口から直接告げることになるのだが……その会場こそ、日向坂46が長らく目標にしてきた“約束の彼の地”東京ドームであることが発表されると、客席から声にならない声が漏れ、歓喜の拍手に包まれた。

 佐々木久美は「初めて東京ドームでライブをやらせていただくことを、私たちもサプライズで知ったんですけど、それが2019年の『ひなくり』で。それから何回も延期になってしまって、ずっと東京ドームで(ライブを)やるというのが夢のひとつでもあったし、ずっとおひさまの皆さんが待ってくださっているのに、私たちが東京ドームでライブをすることがなかなか叶わなくて。待ってくださっている皆さんにも申し訳ない気持ちだったし、だからってどうすることもできなくて、みんなもどかしい気持ちでいたんですけど、ついに来年の3月に東京ドームでやらせていただくことになりました」と改めて、発表から2年3カ月を経て念願の東京ドーム公演が実現することを報告する。

 続けて、「サプライズで発表されたときは(東京ドーム公演をするのが)私たちで大丈夫なのかなっていう気持ちだったんですけど、そのときから2年経ち、状況も変わりまして、少しは日向坂46として自信をつけて活動できるようになりましたし、2年経って改めて私たちの口から東京ドームでやるよって皆さんにお知らせできたのが、本当にうれしいです。自分たちが東京ドームでやるグループにまでなれたのか、そういう自覚というか、覚悟はこの2年間でだいぶつきました。なので、最高の『ひな誕祭』をお届けしたいと思います。皆さん待っていてください!」と力強く宣言し、会場は再び祝福の拍手で包まれた。

 最後は、会場にいる全員が喜びを噛み締めながら、東京ドームへの思いを綴った「約束の卵 2020」で締め括り。2時間半におよぶ『ひなくり2021』は大成功で幕を下ろした。

 ついに実現する日向坂46の東京ドーム公演。しかも、デビュー3周年を祝福するアニバーサリーライブとして、2日間にわたり開催される。佐々木久美は全国ツアー最終日に「約束のあの場所でライブをするときは(小坂を含む)全員が揃って、みんなで力を合わせてあの景色を見られたらいいなと思います」と語っていたが(※1)、きっと2022年3月30日、31日は22人揃った日向坂46で、最強のパフォーマンスを我々に披露してくれる……そう信じている。

※1:https://realsound.jp/2021/10/post-886083.html

■セットリスト
日向坂46『ひなくり2021』
2021年12月25日(土)幕張メッセ 国際展示場ホール9-11ホール
00. Overture
01. アディショナルタイム
02. 膨大な夢に押し潰されて
03. ソンナコトナイヨ
04. アザトカワイイ
05. 好きということは…
06. 世界にはThank you!が溢れている
07. この夏をジャムにしよう
08. 嘆きのDelete
09. まさか 偶然…
10. こんなに好きになっちゃっていいの?
11. 川は流れる
12. ホントの時間
13. 何度でも何度でも
14. 日向坂
15. My fans
16. キツネ
17. ってか
18. 誰よりも高く跳べ!2020
19. 思いがけないダブルレインボー
20. JOYFUL LOVE
<アンコール>
21. 君しか勝たん
22. 約束の卵 2020

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