LiSAからAimerへ、『鬼滅の刃』遊郭編に引き継がれた作品愛 「残響散歌」から紐解く
TVアニメ『鬼滅の刃』遊郭編(フジテレビ系)の放送がいよいよ始まった。アニメ本編とともに注目されているのが物語を彩る主題歌だ。12月5日に放送された第1話では、Aimerが歌うオープニングテーマ「残響散歌」がオンエアされた。なお、放送終了直後の12月6日から配信リリースされた同楽曲は各種配信チャートにて1位を記録、全48冠を達成するなど、早速大きな反響を呼んでいる。
『鬼滅の刃』といえばLiSAを思い浮かべる人も多いだろう。『遊郭編』以前のアニメシリーズのオープニング/エンディングテーマ、および『劇場版「鬼滅の刃」 無限列車編』主題歌は全てLiSAの歌唱によるもの。特に「紅蓮華」「炎」は国民的ヒットと呼んでも差し支えないほどの認知を獲得。昨年末の『第71回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)では“アニメ「鬼滅の刃」紅白SPメドレー”として、この2曲を披露した。
アッパーでアクロバティックながらもどこか切なさも漂う「紅蓮華」。葛藤を越えて未来へ進む決意をする「from the edge」(FictionJunction feat. LiSA名義)。煉獄杏寿郎の生き様に寄り添うバラード「炎」。ハードロックサウンドとミステリアスなメロディの掛け合わせが斬新な「明け星」。刀をモチーフに〈抜き身になれ〉と歌う「白銀」。LiSAの歌う主題歌5曲は曲調こそそれぞれ違うが、どの曲も過酷な運命に見舞われながら、意志を胸に、戦いへ臨むアニメの登場人物たちに寄り添う歌であった。
そして今回、『鬼滅の刃』遊郭編オープニングテーマの「残響散歌」、そしてエンディングテーマの「朝が来る」を担当するのがAimerだ。LiSAと同じく、数多くのアニメ主題歌を歌ってきたアーティストで、例えば『機動戦士ガンダムUC』シリーズの主題歌(「RE:I AM」「StarRingChild」、SawanoHiroyuki[nZk]:Aimer名義での「bL∞dy f8 -eUC-」)や、『炎炎ノ消防隊 弐ノ章』(TBS系)のオープニングテーマ「SPARK-AGAIN」、『残響のテロル』(フジテレビ系)エンディングテーマ「誰か、海を。」などを担当。TVドラマ『あなたの番です』(日本テレビ系)主題歌「STAND-ALONE」や、iichiko NEOのCMソング「悲しみの向こう側」などで彼女を知った人も多いかもしれない。また、特徴的なそのハスキーボイスはミュージシャンの心をも惹きつける。2016年にAimerに楽曲提供したTaka(ONE OK ROCK)、TK(凛として時雨)、野田洋次郎(RADWIMPS)はそれぞれ以下のようにコメントしている。
「彼女の歌い手としての才能に何度も驚かされながら、そしてAimerにとっても新たなチャレンジをしている楽曲になったと思います」(Taka)(※1)
「声からメロディが生まれ、言葉が引き寄せられていく様な不思議な魔法を持ったAimer」(TK)(※1)
「声だけで、この人のことなんか好きだなと思ってしまった」(野田)(※2)
LiSAとAimerといえばレーベルメイトであり、共演経験もある仲。また、ufotable(アニメ『鬼滅の刃』シリーズの制作会社)手掛ける『Fate』シリーズでも共に主題歌を担当するなど、何かと縁のある2人だ。『無限列車編』、そして『遊郭編』の主題歌の公式発表があった際、LiSAは「Aimerちゃんへと歌い繋げられたら」とコメント(※3)。それに対してAimerは、「想いと共に大切なバトン受け取らせていただきます」とLiSAへのリスペクトも込めた言葉を返した(※4)。
『無限列車編』のオープニング映像冒頭では、タイトルロゴとともに竈門炭治郎と煉獄の表情を捉えたカットがあった。それと同じように、『遊郭編』のオープニング映像の冒頭でも炭治郎と今回の主要キャラクターの1人でもある宇髄天元が映るシーンがある。煉獄から宇髄へ、そして「明け星」から「残響散歌」へ、物語が引き継がれたことを象徴しているようだ。しかし、炭治郎と煉獄が違う方向を向いていたのに対し、炭治郎と宇髄は同じ方向を向いているのが気になるところ。その違いが何を物語っているのか、考察しているファンもいるようだ(因みに、TVシリーズ第1期『立志編』のオープニング映像では炭治郎単独のモノクロカットだった)。