THE CHARM PARK、大橋トリオ×WOWOWオリジナルライブ 担当プロデューサーが語る音楽・ライブ映像への愛情
映像的にもとても魅力的なアーティスト
ーー『大橋トリオ LIVE AT MUSIC HOUSE』の撮影場所は、彼のプライベートスタジオだとか。撮影時に意識していたのはどんなことでしょうか?
松井:今回は美術スタッフを入れず、なるべくプライベートスタジオにあるものを使用したいとご本人にオーダーさせていただきました。こちらのイメージをお伝えして別の部屋からライトを持ってきていただいたり、楽器の配置をご相談したり。画面の彩りとしての生花やグリーンはこちらで用意しましたが、花瓶や箱、バケツなどもスタジオにあったものを使用してるんですよ。部屋にあったオイルの切れているランプも使用したいと伝えたところ、下見の後に大橋さんが業者さんを手配して補充してくださるなど、本当に快く色々とご協力いただきました。撮影当日は特にオーダーはかけず、自由に過ごしていただき、我々はその空気感を壊さないように撮影した感じです。
ーー気の置けないミュージシャン仲間とリラックスして演奏している姿、本当に魅力的でした。
松井:プライベートスタジオでの撮影ということもあってか、ご本人をはじめ、メンバーの皆さんの表情がとてもリラックスしていて本当に楽しそうで。カメラに目線がくることもなく、“遊びながらセッションを楽しんでいる”様子を私たちが覗き見しているような感覚を受けたことがとても印象的でした。また、これはライブ本編には関係ないことですが、ベランダにセッティングしていた菜の花やチューリップを、ご本人やメンバーのみなさん、そして撮影に携わるスタッフも本番前に個々に撮影をしていたのがなんだか意外で。でも、あの空間を象徴するとても素敵なシーンだったなと思います。撮影終了後に大橋さんが「一年で一番、天気が味方してくれた日でした」とおっしゃっていたのも忘れられません。翌日は大雨だったそうですよ。
ーー今回はプロデューサーである松井さんが監督も務めているとか。WOWOWの社内で監督業まで行なうのは珍しいことだと思うのですが、撮影監督とのエピソードや演出に関してどのようなディレクションをしたのか教えてください。
松井:大橋トリオさんとは、以前より監督としてのお付き合いがあったので今回も監督を務めさせていただき、以前も一緒に組んだ撮影監督へお声がけをして進めました。撮影監督との打ち合わせでは“写真集から音がするような”“キラキラ”“シャボン玉”“やさしさ”など、私が抱いていたふんわりしたイメージをお伝えすることから始まり、「大橋さんの楽曲が持つストーリーに、見ている人たちが吸い込まれるような映像にしたい」という思いでお互いのイメージが合致したので、情景を撮るチームを作り、「音を感じるような画を撮ってほしい」と撮影監督からオーダーをかけてもらいました。撮影スペースが限られているなかで、窓ガラスの反射を利用できる位置にカメラマンを配置したり、楽器チームとスペースを譲り合って撮影に臨むなど、初めての試みが多かったので撮影監督もカメラマンも不安が多かったと思います。カメラ用のリハーサルも2曲やった程度で本当にぶっつけ本番だったので、カメラマンは初めて見るものを感性のまま撮影していった感じですし。そんな状況でも、あの日の温かな空気感をとても丁寧に掬い取ってくれていたので、撮影している間、きっと彼らも幸せな気持ちだったんだろうな、と。キラキラした映像が想定以上にあったのは嬉しい驚きでしたね。
ーー情景がふんだんに映されている背景には、そんな意図があったんですね。松井プロデューサーから見た、大橋トリオの魅力とは?
松井:楽曲に没入できるメロディの美しさと歌詞のバランスの良さはもちろんですが、映像にしたときの“決まる感じ”が素晴らしいなとずっと思っています。今回の映像もそうですが、制限がなく自由に撮らせていただけるので、たとえば、鍵盤を弾く指先、揺れる髪の毛、ピアノに向かう背中など、ご本人の表情が見えなくても“大橋トリオ”を感じさせることができる、映像的にもとても魅力的なアーティストだと思っています。音源だけではなく、ライブに足を運んだり、ライブ映像もぜひ見ていただきたいと思うアーティストの一人ですね。また、MA(音を整えるエンジニア)が言っていて印象的だったのが「大橋トリオさんはご自身の声も楽器のひとつとして音を仕上げてくる」という言葉です。ボーカルだけを際立たせるのではなく、ひとつの楽器として全体の中に馴染ませていると言いますか。そういったアーティストはなかなかいないのではないかな、とも思っています。
ーーどちらのライブも素晴らしい内容だと思いますが、放送後の反響はいかがでしたか?
松井:大橋トリオのライブを放送した際のSNSでは“映像美”という言葉が多く見られたのですが、ライブ映像に対する感想ではあまり目にすることのない単語だったので、新鮮でした。また、撮影に携わっていないスタッフからも、「別の現場でとても良い映像だったと噂になっている」と連絡をもらったり、THE CHARM PARKライブ放送後は、別のアーティスト担当者から、「ああいうオリジナルライブをうちのアーティストでも撮ってほしい」とオファーをいただいたこともあり、どちらも業界内外問わず、反響の大きさを実感しましたね。何より、多くの方々が「もう一度見たい!」と呟いてくれていたことが嬉しかったです。
ーーコロナ禍によって音楽業界が受けたダメージは、今もなお深刻です。この状況のなか、WOWOWが担うべき役割とはどんなことだと思われますか?
松井:オリジナルライブを始めたころから思っている“アーティストが表現できる機会をつくること”、そして、映像を通じてその魅力を増幅させて“足を運んだライブ以上の喜び”を感じていただける番組を制作し、多くの方々に届けることができる立場にあると思っていますし、オリジナルライブを継続して制作していく必要があると勝手に使命感を抱いています。そして、WOWOWのオリジナルライブを通して“WOWOWに加入していて良かった”と思ってくださる方が一人でも多くなるように、良いものを作っていければと。
ーープログラムを楽しみにしている音楽ファンにメッセージをお願いします。
松井:どちらの番組も、まったく違う魅力がありながらも、根本に流れる“音楽/ライブ映像への愛情”を感じられるものに仕上げられたと思います。秋の夜長にじっくり見ていただくのでも良いですし、家事をする際に流しておいていただいても良いですし、ぜひ配信中に何度も見ていただいて、ライブに足を運んだような気持ちになっていただければ嬉しく思います。
■番組情報
『THE CHARM PARK x WOWOW SPECIAL LIVE Attack the Ages』
11/23(火・祝)午後2:50 [WOWOWライブ]
12/31(金)午前10:45 [WOWOWライブ]
WOWOWオンデマンドでは配信中
https://www.wowow.co.jp/thecharmpark/
『大橋トリオ LIVE AT MUSIC HOUSE』
11/23(火・祝)午後4:30 [WOWOWライブ][WOWOWオンデマンド]
12/30(木)午後4:30 [WOWOWライブ][WOWOWオンデマンド]
各放送後~2週間アーカイブ配信あり
https://www.wowow.co.jp/ohashi-trio/
WOWOWオンライン
https://www.wowow.co.jp/