imdkmのチャート一刀両断!
TOMORROW X TOGETHER、日本での初EPがチャート首位獲得 対照的なシンガー招いた「0X1=LOVESONG」に注目
Seoriは2020年のEP『?depacse ohw』でアーティストデビューした新鋭で、少しウィスパー寄りで低めの音域が映えるようなやわらかな声質を操りつつ、同EPでは尖ったプロダクションとも抜群の親和性を見せていた(安直と言われそうだけれど、現代的なビートやボーカルのアプローチは一時のビリー・アイリッシュを彷彿ともさせる。声のレイヤリングで生まれるニュアンスの豊かさもよい)。「0X1=LOVESONG (I Know I Love You)」では壮大なスケールのサウンドとメロディラインのなかでも持ち味を失わず存在感を放っていたのが印象深い。
YOASOBIのボーカル ikuraとしても知られる幾田りらは、ある意味Seoriとは対照的な印象で、明瞭さと高音の繊細さに強みがある。では「0X1=LOVESONG (I Know I Love You)」でどんな歌唱を披露しているかというと、やはりソロやYOASOBIでの歌唱とは違うニュアンスだ。少ししゃくるようにして作るタメや、息を逃がすように一音を終えるくだり。全体のトーンが少し重心低めで抑制気味なことに加えて、そうした細部に注意が向く。楽曲の解釈に加えて、そうしたディレクションがあったのかもしれない。「既存の曲の翻訳」というトリッキーな曲だけに、聴き比べると面白い。今後こういう例が続く……とも考えにくい(日本オリジナル曲でコラボ、のほうがありそう)ので、貴重な例かもしれない。