リュックと添い寝ごはんが体現する“普遍的な青春” 『シブヤノオト』『沼にハマってきいてみた』出演から考察

リュクソが体現する“普遍的な青春”

 メジャーデビュー作となった『neo neo』以降、リュックと添い寝ごはんの表現は第2段階に突入している。音楽的にはより丸みを帯びた、本人たちの言葉を借りれば「あたたかい」サウンドとグルーヴを志向し、歌詞では続いていく日常とそこにある生活の尊さや美しさを丁寧に描くようになった。『neo neo』収録の「あたらしい朝」や、配信シングルとしてリリースされた「くだらないまま」はどちらもコロナ禍で日常が激変するなかで、地に足をつけて歩いて行こうよ、と優しく語りかけるような曲になった。「青春日記」とは違うが、前を向く姿勢はしっかりと地続きになっている、緩やかに変化したバンドの姿がそこにはあった。

 そして今回の「東京少女」である。10代と今のハイブリッドという形で完成したこの曲は、まさにその「地続き」の部分をはっきりと教えてくれている。焦燥感を燃やして明日を目指す「青春日記」のような姿勢と、だからこそ一歩一歩、目の前の今日を生きていくんだという決意。どちらも「青春」的だと思うし、とても誠実で率直な表現者としての思いである。そのミッシングリンクを繋げる鍵として、「東京少女」はもしかしたら今後のリュックと添い寝ごはんにとって、ひとつのターニングポイントになるのではないかという気がするのだ。

リュックと添い寝ごはん /東京少女 [Music Video]

 さて、先述の『シブヤノオト』。SKY-HI、NEWS、ビッケブランカという百戦錬磨のメンツの中に飛び込んで、ニューカマーを紹介する「WHO’S NEXT」のコーナーで登場したリュックと添い寝ごはん。楽器を持ってステージに立った3人がかなり緊張していることは画面越しでも伝わってきたが、いざパフォーマンスが始まれば「東京少女」の力強いメッセージはしっかりと伝わってきた。宮澤と堂免英敬(Ba)が生み出すタイトで前のめりなグルーヴと、松本のつぶやきのような細やかさから一気にエモーショナルに解放されていくボーカル。楽曲のよさは、ここで初めて彼らに出会った人にも届いたのではないかと思う。「青春日記」「東京少女」、そしてその先へ。これからもしなやかに変わり続けていくであろうリュックと添い寝ごはんの「青春」のこれからを、大いに期待しながら見守りたい。

※1:https://realsound.jp/2021/11/post-899646.html

■リリース情報
Digital Single『東京少女』
11月2日(火)配信スタート
<収録内容>
1.東京少女
2.ふたり暮らし

ツアー会場&SPEEDSTAR CLUB限定:CDシングル『東京少女』
11月2日(火)発売 ¥1,500(税込)
<収録内容>
1.東京少女
2.ふたり暮らし
3.PLAY (Live Version)
4.グッバイトレイン (Live Version)
5.アップルパイ (Live Version)

リュックと添い寝ごはん Official Website

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