22/7(ナナニジ)、グループの歴史をたどったアニバーサリーライブ 現体制ラスト公演を観て

 デジタル声優アイドルグループ・22/7が11月14日、東京国際フォーラム・ホールAで『ANNIVERSARY LIVE 2021』を開催した。昼夜2公演にわたって催されたこのライブでは、2017年のデビューシングル『僕は存在していなかった』から今月24日リリースの最新シングル『覚醒』収録曲まで全51曲をパフォーマンスし、グループの歴史をたどってみせた。

 同時に、メンバーの海乃るり、倉岡水巴、武田愛奈が年内で順次卒業することが発表されているため、22/7の現体制ラストライブとしても位置づけられ、この日の2公演はグループの大きな節目ともなった。本記事では、昼夜公演のうち夜公演の模様についてレポートする。

 先立つ昼公演では、デビューシングルから4thシングル『何もしてあげられない』までの収録曲を順に披露、合間にメンバーそれぞれが担当するキャラクターソングを挟む構成で、活動初期から2019年までの歩み+αのセットリストとなっていた。

 そしてこの夜公演では、開演と同時にスモークが焚かれたステージ上、横一列に並んだメンバーのシルエットが浮かび、5thシングル表題曲「ムズイ」からライブがスタートする。TVアニメ『22/7』主題歌となるこのシングルはまた、河瀬詩が斎藤ニコル役を引き継いでから初のリリースでもある。この公演最初のMCで河瀬自身が言及したように、夜公演は2020年初頭から今日につながる22/7の体制を、時系列で振り返るものになっていた。続いて「願いの眼差し」、そしてステージを横に使った振付のドラマティックさが映える「僕らの環境」、「足を洗え!」、アニメエンディングテーマ「空のエメラルド」と続き、『ムズイ』収録曲で最初のパートを締めくくる。

 MCののち、6thシングル『風は吹いてるか?』収録曲から始まるブロックは、15曲を連続でパフォーマンスし、本公演全体のストイックさ、そしてグループが昨年から今年にかけて築いてきた作品の幅広さを見せつけた。「風は吹いてるか?」「ポニーテールは振り向かせない」ののち、ステージ上に海乃、倉岡、武田が残ると、22/7のユニットソング屈指の抜けの良さを誇る「半チャーハン」で、一気に会場の雰囲気を塗り替える。ユニット“晴れた日のベンチ”は全員が卒業を控え、オリジナルメンバーでの同曲披露もラストとなるが、ここではそんな寂しさを微塵も感じさせない、陽性のパフォーマンスを見せる。

 さらに天城サリー、西條和、涼花萌のユニット“気の抜けたサイダー”による「ソフトクリーム落としちゃった」でゆるやかな空気を作り、続いて一足早く7thシングルの衣装をまとった河瀬、白沢かなえ、宮瀬玲奈による“蛍光灯再生計画”の「タトゥー・ラブ」がクールに場を引き締める。そして他メンバーが合流すると、7thシングル『僕が持ってるものなら』の収録曲へとシームレスにセットリストをつないでいく。

 ノスタルジックさを感じさせるラブソング「好きと言ったのは嘘だ」に始まり、表題曲の「僕が持ってるものなら」を経てパフォーマンスされるのは、今年22/7に生まれた最強のお祭り曲「タチツテトパワー」。ステージ上も客席もギアが瞬時に上がり、会場の床が文字通り強く揺さぶられる。紅白ユニット楽曲の「雷鳴のDelay」「キウイの主張」の好対照も含めて、同シングル収録曲のバリエーションやメンバーたちの表現の広がりを見せた。

 そのままパフォーマンスを止めることなく、記憶に新しい1stアルバム『11という名の永遠の素数』新録曲パートへ突入。ここでは何より、アルバムリード曲であった「ヒヤシンス」のインパクトが大きい。今夏の音楽番組出演などでもしばしば披露する機会を得た「ヒヤシンス」は、22/7というグループが持つ言葉の強さが全面に押し出された作品といえる。ライブパフォーマンスによって、言葉を畳み掛ける凄みがいっそう伝わり、現体制の22/7が誇る名作であることをあらためて知らしめた。ユニット楽曲まで含めてアルバム曲も網羅し、長丁場の中盤ブロックをノンストップで走りきった。

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