でんぱ組.inc、8人で届けた全力ステージ 10年の間の楽曲を現体制で表現した特別公演『箱庭の掟』

 こうしたソロやユニットでも歌われるなかで衝撃的だったのが、鹿目凛の進行とともに始まった「キラキラチューン」が、8人いるなかで鹿目凛にをメインとした構成だったことだ。そこには、かつてプロデューサーのもふくちゃんに歌唱面で怒られていた鹿目凛はおらず、堂々たる鹿目凛がいた。

 10年前の「Future Diver」と最新シングル「衝動的S/K/S/D」が続けて歌われてコントラストを成し、本編は終了。アンコールの拍手で再登場したメンバーは、ひとりずつ今の想いを語っていった。空野青空は「みんなとトゥギャザー」と繰り返した。愛川こずえは話す前から泣きだしており、他のメンバーについて「みんな若いし」と語り、ファンの笑いを誘った。そして、鹿目凛は「あなたのことを幸せにさせてください♡」と言ったのだ。語尾に間違いなく「♡」が付いているのが見えた。なかなか言えるセリフではない。そこには、同期である根本凪の不在を埋めようとする気概をも感じた。

 アンコールは「キボウノウタ」で終わったが、歌いだしは〈思ったよりも何も起きない毎日を/窮屈だと思ったのはいつからだろう?〉という歌詞だ。コロナ禍以前へのノスタルジーのようで、最後の歌詞は〈そんなあの日の僕に 『ありがとう』って叫んでゆくよ 未来へ〉なのだ。なぜ2016年のアルバム『GOGO DEMPA』収録曲である「キボウノウタ」が最後を飾ったのかといえば、「これまで」と「これから」を示す楽曲だからだろう。2022年3月から全国Zeppツアーを開催することを発表したでんぱ組.incは、さまざまな人々の想いを背負いながら未来へと向かっていくはずだ。その姿を私も見届けたい。

■セットリスト
1.プリンセスでんぱパワー!シャインオン!
2.最Ψ最好調!
3.玉虫色ホモサピエンス
4. でんぱーりーナイト
5. でんぱれーどJAPAN
6. NEO JAPONISM
7. 愛♡舞☆ミライ!
8. とんちんかんちん一休さん
9. 千秋万歳!電波一座!
10. おやすみポラリスさよならパラレルワールド
11. アンサンブルは手のひらに
12. Phantom of the truth
13. 秋の葉の原っぱで
14. 待ちぼうけ銀河ステーション
15.キラキラチューン
16.くちづけキボンヌ
17.サクラあっぱれーしょん
18. Future Diver
19. 衝動的S/K/S/D
EN1. 好感Daybook♡
EN2.いのちのよろこび
EN3キボウノウタ

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