森七菜が明かす、新海誠監督の“言葉”に魅了された理由 映画『天気の子』から新曲「背伸び」実現に至るまで

森七菜、新海誠の“言葉”に魅了された理由

『天気の子』に続いて“私という人”を切り取ってくれた

——歌の言葉で言うと、〈星さがし〉や〈夏の星の匂い〉、〈星空の海〉など“星”というモチーフが多く使われますよね。

森七菜:やっぱり新海さんっぽいなと思いました。綺麗な夜空が浮かびますね。夜ってあまり人と共有しないものですけど、夜の空を共有した特別な人なんだなってことがわかる。他の人とは一緒に過ごさない時間と場所だからこそ、“僕”にとっての“君”がより特別なものに感じているのかなと思いましたね。

——最後の〈誰かの星になる/いつの日か〉の“星”には“スター”という意味も感じました。新海さんが森七菜がスター女優になっていくのを見守ってる感じなのかな、と。

森七菜:あはは。考えたこともなかったです。本当のところはどうなんだろうって気になりますね。

——歌詞の意味は何も聞いていないですか。

森七菜:はい。そこに関しては特にコミュニケーションを取ってないですね。お芝居をするときも本当にわからないこととか、共有しておかないと困ることは話しますけど、基本的には監督に相談せずに自分の中で昇華するので、それと同じように歌いましたね。

——なるほど。あと、細かいことですけど、〈ハイ〉や〈ロー〉という言葉を使うのは意外でした。

森七菜:そうですね。でも、逆に新海さんっぽいイメージもあリます。新海さんって不思議な人なんですよね、本当に。ピュアなところがありつつ、〈全部消してしまおう〉とか、一見、ネガティブに聞こえる言葉を使っていたりする。そのミステリアスさが、映画に惹き込まれる1つの要因でもあるし、この曲に触れてもらえるきっかけにもなるといいなと思います。

——全体のストーリーはどう感じましたか。1番で過去の別れ、2番で現在の決意、3番で未来への希望が描かれてますよね。

森七菜:細かなことは描かれていないので、やっぱり聴く人それぞれに委ねたいんですけど、この1番だけで、“僕”が“君”をどれだけ愛しんでる、どれだけ別れを惜しんでいるのかがわかるんですよね。バックボーンが描かれていなくても伝わってくるところに、言葉の力をすごく感じました。私は特に背景を想像したり、実体験に重ねて歌ったりしたわけじゃないんですけど、それでもどうしても、気持ちが乗ってきてしまう。新海さんの言葉はやっぱりすごいなって思いましたね。

——“僕”という役柄で歌ったわけではない、と。

森七菜:はい。役っぽいけど、役作りは特にしてないですね。本当に声を当てるみたいな気持ちです。映像が浮かんでいて、その子が生活してる中で、後ろで流れている音楽のような気持ちで歌いました。

——「背伸び」というタイトルはどう思いましたか?

森七菜:難しいですけど、「背伸び」って、人それぞれの見方があるじゃないですか。その人をどう見ているかで、その人に見合った行動か、背伸びをしているのかが変わる。“僕”は“君”のことが好きなんだけど、“僕”と同じところにいてほしいからこそ、違うところにいく“君”が「背伸び」をしてるように感じてしまう。でも、実際の“君”にとっては背伸びじゃなくて、ただ次の場所に行こうとしているだけで、「成長」なんだっていう。そこで、僕が「背伸び」に感じてしまう切なさもありますし、そんな“僕”が“君”を追いかけてること自体が「背伸び」なのかもしれない。いろんなところに切なさを感じますね。

——完成してご自身ではどう感じましたか。言葉を1つ1つ区切っていくような前作「深海」とは全く違う曲調になってますよね。

森七菜:ザ・J-POPっていう曲調も歌ってみたいなと思っていたので、いい経験になったなと思います。あと、『天気の子』の時は16歳でしたけど、もうあの声が出るかはわからないし、映画はあの時を切り取ってくれたという思いがあって。今回は「背伸び」という歌ですけど、今の私の等身大、同じ目線に立って歌える曲なので、また1つ、作品を通して、私という人を捉えて切り取ってくれたんだなと思って。勝手ですけど、新海さんの愛を感じましたね。

——新海さんの愛はかなり込められてるなと感じます。新海誠ファンも聴きますよね、きっと。

森七菜:私も新海さんのファンの一人なので、ファンの方と共有したいですね。みなさんきっと、新海さんの歌詞を聴いてみたいなと想像していたと思うんですよ。こういう風に実現して、いざ、新海ファンが聴くぞってなった時に、より良い形で聴けるように歌いましたし、歌詞は切なさをすごく帯びているけど、新海さんの言葉選びや言葉への愛が、この歌をとても綺麗にしているんですね。「深海」は切なさを一緒に共有できる場にできればいいなと思ったんですけど、「背伸び」はまた違う切なさというか……。本当に誰かを恋しく思う気持ちですよね。今、恋しく思う誰かがいる人にとっては、早くこの状況から逃れたいとか、相手も同じように思ってくれていたらいいなという気持ちがあると思うんですけど、そういう切実な思いも“今”という時間をすごく輝かせてくれる。片想いが一番楽しいっていうじゃないですか。片想いこそロマンチックで、こんなに魅力的なものはないんだって気づかせてくれる曲はそうないなって思いました。

——この二人のお話の続きも気になりますが、MVはどんな映像になってますか?

森七菜:なんと言ったらいいか、表現がすごく難しくて。「見てください」としか言いようがないんですが(笑)。この曲から想像して、1番初めに出てくる絵ではないです。スタジオのセットで撮って。想像し難いものなんですけど、切ない表情を残しつつ、往年のJ-POPな感じで、今愛される要素を詰め込んだMVだなと思います。この曲の新しい部分を引き出しているので、より多くの人に聴いてもらえるきっかけになるんじゃないかなと思います。

——これまでの楽曲は岩井俊二さん、Ayaseさん、新海さんと制作してきましたが、今後の活動はどう考えていますか。

森七菜:もっと音楽に対しての感性を豊かにできたらなって思ってます。尊敬する大好きな人たちとやってきて、もうこれ以上ないなって思いますよね(笑)。これまではとっても信頼を置いて作ってきましたけど、これからは予想もできないようなことに私もチャレンジしたいなと思っていて。もちろん、皆さんに聴いていただけるだけの完成度は保ちつつ、好奇心とか、楽しさがのってくるような曲を作れたらな、と。

——音楽活動における野望はありますか?

森七菜:いつかフェスに出たいです! 今あるオリジナル曲だけだとしっとりしたステージになっちゃうので、「スマイル」をバンドバージョンで1曲だけやって。みんなで歌って、「いえーい」ってやって帰りたい(笑)。すごくアウェイだと思うんですけど、フェスができる状況になったら出てみたいし、それに合わせて準備も頑張ってしていきたいなと思いますね。

サイン入り色紙プレゼント

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<締切:11月17日(水)>

森七菜「背伸び」
森七菜「背伸び」

■リリース情報
新曲「背伸び」
2021年10月27日(水)デジタル配信のみでリリース

■森七菜公式リンク
音楽オフィシャルサイト
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Twitter(音楽スタッフ(公式))
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