『STATION IDOL LATCH!』、“山手線の駅員アイドル”という新しさと可能性 初のファンミーティングレポート

 アイドルプロジェクト『STATION IDOL LATCH!』、初のファンミーティングが2021年10月10日渋谷ストリームホールにて行われた。今回は夜公演の様子をレポートする。

 『STATION IDOL LATCH!』は、山手線各駅の駅員のキャラクターが業務時間を終えるとアイドルとしても活躍する、という斬新な設定のプロジェクト。個性豊かなキャラクターたちが織りなす爽やかなストーリーを通して、鉄道や街に関する知識や各駅の特徴を知ることができる。YouTubeでメインストーリーとなるボイスドラマが配信され、さらにオリジナル楽曲・MVの配信、ニコ生配信番組、CDリリースと続々と展開が続いており、今人気急上昇中のコンテンツだ。

 演じる声優陣も今をときめく人気声優から、注目の若手、誰もが知るベテラン、オーディションで選ばれたキャストなど、キャリアやルーツも様々でバラエティに富んだキャスティングとなっている。

 1曲目は日暮里駅・戸成綾役の山口智広、御徒町駅・高良摩利央役の阿座上洋平による「Two as One」。激しいラップや息の合ったダンスと高い歌唱力で熱いパフォーマンスを見せながら、下町ユニットらしいノリの良いファンサービスで親しみやすさを感じさせ、極上のトップバッターとして会場の温度を上げた。また、これまでも生放送で息のあったやりとりを見せてきた2人だが、今回のトークでもそのコンビネーションは健在。声が出せない中でも、思わず笑い声が溢れる。

 舞台にはピアノとスタンドマイクが設置され、品川駅・一条肇役の古田一晟と有楽町駅・小鳥遊悠吏の梶原岳人が登場。古田のピアノで始まったのは、ファンタジックな魅力の一曲「Regret」。ピアノ弾き語りとスタンドマイクを使ったボーカルという形がゴシック調の楽曲にマッチしており、「2人の距離感が心地いい」と梶原が語るとおり、彼らだからこそ表現し得るステージとなった。トークパートでも「会うのが3回目くらい」「トークが苦手」という2人だが、同い年ということもあってか、ゆったりとした独特な空気感で既にユニットらしさを醸し出していた。

 続いて山口と阿座上が再登場。品川駅にストリートピアノがあったことがモチーフになり、ピアノを弾くキャラクターになっていることや、キャラクターデザインからそのまま飛び出してきたかのようなクオリティの高い衣装についても触れ、細かな部分にもそれぞれの駅に由来するモチーフが使われていることを紹介した。

 次に、新大久保駅・百瀬志生による生配信風の映像が映し出され、ステージ開始前の様子を語るボイスドラマが流れると、ステージには百瀬志生役のTAKUYAが登場。10年以上韓国で活動し、このイベントのために来日したという。披露された「Salt & Sugar」は、K-POPらしい中毒性のあるクールなダンスチューン。LATCH!唯一のソロで、ミステリアスな雰囲気のある百瀬らしいハイレベルなダンス&ボーカルのパフォーマンスに客席は釘付けとなった。

 声優によるファンミーティングならではの、生朗読劇も行われた。これまで登場したメンバーに加え、新橋駅・鳥鷹鉄路役の井上和彦、浜松町駅・湊航琉役の狩野翔、田端駅・北 颯役の矢野奨吾も登壇。「先輩たちの楽屋物語」と題し、LATCH!メンバーがライブ前にどのように過ごしているのかが垣間見える、ほっこりとした一幕が描かれた。

 そして、高田馬場駅・武庸裕哉役の青山凌大、西日暮里駅・諏訪海晴役の伊藤昌弘、大塚駅・空蝉 塁役の住谷哲栄による新人ユニットの気合の入ったやりとりが描かれたボイスドラマが流れると、いよいよ3人がステージに登場。「声よし!」「所作よし!」「笑顔よし!」とポーズを決め、「Ai for you」がスタート。新人らしいフレッシュさはもちろん、各キャラクターに寄り添ったボーカル、見事に揃ったダンスで観客を惹きつける。何よりも、キラキラとした夢と情熱に溢れた楽曲を体現したような3人の弾けるような笑顔が印象的だ。彼らを中心に描かれたメインストーリーを追ってきたパッセンジャーにとっては、胸を打つ一瞬となっただろう。

関連記事