わーすた、坂元葉月卒業前ラストツアー初日公演レポ ステージから伝わってきたメンバーの決意

 お馴染みの「Overture」に導かれるようステージに現れた5人。客席に背を向けながらゆっくりと天に手をかざすと、ピアノとギターの流麗なアルペジオが鳴る。その煌めいた音色にいざわれるよう、正面を向いた坂元葉月がそっと歌い出す。センターに立つ彼女の歌を廣川奈々聖と三品瑠香が紡いでいき、小玉梨々華と松田美里が寄り添って5人の大きな歌となり、会場に響き渡った。

わーすた

 9月18日、Zepp DiverCity(Tokyo)での1公演目。わーすた、約半年ぶりとなるワンマンライブであり、なによりも5人としての最後のツアーとなる『わーすた LIVE TOUR 2021~君と僕の青春歌!』は、「詠み人知らずの青春歌」で幕開けた。今年いっぱいで卒業する坂元へ手向けた歌である。

 アイドルを応援することは、彼女たちが放つ輝きを見逃さないように追い続けることでもあるだろう。今日より明日のほうが輝きは増していくだろうし、その輝き方自体が変わっていくかもしれない。たとえ、そこに一喜一憂したとしても、それもまた醍醐味である。アイドル側から見れば、仲間の門出があって、そしてまた新しい仲間を迎えていく、そうやって常に変化をしながら、いろいろな輝きを放っていくグループも多い。だが、わーすたは2015年の結成以来6年間、ずっと5人で変わらずに走り続けてきた。そしてこの先も走り続けていく……彼女たちを追い続けてきた皆がそう思っていたなかでの坂元の卒業発表。驚きはしたが、それはお互いが別の場所に進みながら、新たな輝きを求めていくための決意であると教えてくれた。この日はそんなライブを見せてくれた。

 わーすたの5人は、あまりにもいつも通りで、いつも以上にキラキラと輝いていた——。

〈もしもしも夢を今 探しているなら一緒に見つけよう そうするとね 未来がね 輝き出すから〉——「WELCOME TO DREAM」

 猫耳をトレードマークに、インパクトが強く、つかみどころのない歌詞と賑やかなサウンドが織りなす、ぶっ飛んだ世界観の印象が強いわーすたであるが、優美なメロディと胸を打つ歌詞を持つ楽曲も多い。それをあらためて感じさせてくれた序盤。軽快なリズムに乗せた派手なブラスセクションが鳴り響く「サンデー!サンシャイン!」、〈今日よりも素敵な明日がきっとやってくる〉と廣川が歌えば、〈どんなに眩しい瞬間も逃さないで〉と三品が訴えてくる。これまで普通に聴いてきた歌が、なんだかやけに心に響いてくる。

 ツアータイトルは「詠み人知らずの青春歌」の歌詞から持ってきたという〈君と僕の青春歌(ラブソング)〉。この〈君と僕〉は、「私たちとわーしっぷ(わーすたファンの呼称)のみんなの青春歌」であるといい、「いろんな四季を感じられる歌が多く、わーすたと長い年月を過ごしてきた、そんな気分にもなれるようなセットリスト」であると、廣川が語った。

「次の曲はみんな踊れるであろう曲だと思うので……行きますかぁ〜?」

 景気よい三品の紹介で始まった「プリティ☆チャンネル」。可憐に舞うステージの5人に合わせて、場内いっぱいに5色のペンライトが大きく揺れる。続く「バスタブ・アロマティック」では、キュートなエレクトロサウンドに乗せてステージ上に現れた泡風船を5人が無邪気に追いかける。

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