韓国シンガーソングライター The Black Skirts、『TEAM BABY』で日本デビュー 現地ライターが紐解く音楽的魅力
まず本作は、00年代前半のガレージロックリバイバル的サウンドを彼なりに昇華したような、エネルギッシュな『201』、ノスタルジックな韓国歌謡やフォークの影響も取り入れたアコースティックサウンド中心の『Don’t You Worry Baby (I’m Only Swimming)』と比べ、より歌モノ的で、ヒュイルの歌とキャッチーなメロディが曲の中心に来るように作られている。そのため、序盤のキャッチーな「Big Love」や「Diamond」を筆頭に、自然とメロディラインをなぞって鼻歌したくなるし、歌詞もより直接的に伝わってくる。
ヒュイルの歌が中心にある作品だと書いたが、サウンド面の試行錯誤がなかったわけではない。むしろ随所にシューゲイザーやドリームポップ的なアプローチを通して、彼ならではの甘美なサウンドを完成させた作品だといえる。本作のハイライトだと思うのは、切実に永遠の愛を願うような「ボクとじゃなかったら」、ハイトーンの声で“君といると最高”と繰り返す「Heya」、“君は僕の全て”というメッセージをこれでもかと甘く歌う「EVERYTHING」までの、ラブソングとしての濃度が極限まで濃くなっていくラスト3曲だ。いずれの曲もダウンテンポのリズムにストリングスが美しく重ねられ、「ボクとじゃなかったら」の中間で聴こえるギターノイズは彼の思いの高まりのようだし、「EVERYTHING」の思い切りリバーブのかかったギターと包み込むようなシンセサウンドは、壮大な愛を表現しているかのようだ。このアルバムの終盤は、さも純愛映画のエンディングかのようにロマンティックで美しい。
成熟したソングライティングで極上のラブソングを作り上げた本作は、デビューから約10年近く経ったタイミングで発表され、本国でも10代、20代の新たなファンを獲得した作品だ。今回の日本盤を通して日本のリスナーが増えるとともに、2019年に台風接近で中止となってしまった来日公演が、新型コロナウイルス収束後には実現することを願いたい。
■リリース情報
The Black Skirts JAPAN 1ST ALBUM 『TEAM BABY』
発売日 : 2021年9月29日 (水)
仕様:1CD
価格:¥3,300(税込)
発売元:Bside / 販売元:Mastard Records
予約ページ: https://www.hmv.co.jp/news/article/2108021026/
<収録曲>
1. ボクじゃない
2. Big Love
3. Diamond
4. Love Is All
5. ふるさとソウル
6. 花火と風船たち
7. 一時五分 (1:05)
8. ボクとじゃなかったら
9. Heya
10. EVERYTHING
全曲作詞・作曲・編曲: Holiday Cho
The Black Skirts 公式インスタグラム
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