東京初期衝動はロックシーンの最前線へ 士気の高まり感じた『サマーツアー2021』恵比寿LIQUIDROOM公演レポ

 メンバーが一度ステージ袖に消えて戻ると、「壊れる準備はできてますか?」とあさかが呼びかけ、アンコールへと突入。「Becauseあいらぶゆー」、「東京初期衝動」をやり終えると、灼熱の太陽に負けないサマーチューン「さまらぶ❤︎」も披露され、頭上でタオルを回す観客の姿も目に入った。そう言えば、初日の千葉LOOK公演でも最前で楽しそうに踊るファンをたくさん見かけた。コロナが収束した暁には、この曲がどれだけフロアを揺さぶるのだろうか。それを夢想するだけでも胸が躍った。

 最後に再び本編超えの「ロックン・ロール」を演奏した後、「なおさん、行けます?」としーなちゃんは様子を窺い、爆速バージョンで「高円寺ブス集合」が炸裂。さらに「『流星』と『再生ボタン』、気に入らなかったからもう一度やる!」としーなちゃんが突如切り出す自由奔放ぶり。「ロックン・ロール」同様、同じ曲を2回プレイするときは1回目のバージョンを超えなければ意味がない。そう言わんばかりに2回目の「流星」、「再生ボタン」はより繊細に、より荒々しく、血の一滴まで絞り尽くす爆裂パフォーマンスで締め括った。昨年に続くコロナ禍、ファイナルも同じ恵比寿LIQUIDROOMとなったものの、現体制の彼女たちは水を得た魚のようにバンドの士気が高まっている。

 “初期衝動”とは丸裸を曝け出した真実の音を指す。その真実の音を純粋に追い求めるバンドの姿勢に、僕はいつも感動を覚えてしまうのだ。徐々に、そして確実に、東京初期衝動はロックシーンの最前線に躍り出るだろう。

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