Rain Drops、1年半の活動が築いた切磋琢磨できる関係性 音楽とストイックに向き合うグループの現在地

Rain Dropsの現在地

〈「ぼくは一体何者なのだろう」〉はめちゃくちゃ刺さりました(える)

ーーえるさんはユニット曲だと6曲目の「Butterflies」に参加されてますね。

える:ちょうど一年前くらい、2ndミニアルバム『オントロジー』のレコーディングが終わったくらいの頃にプロデューサーさんとお話しする機会があって。「次作でえるのことを踏まえた楽曲を制作したいので、えるのことを聞かせてくれ」って言われていろいろと話しました。「Butterflies」はそれが盛り込まれた曲なんです。

ーーどんなことを聞かれたんですか?

える:「エルフの森ってどんな場所なの」という質問から始まって、「メリーゴーランドが2つあります」と答えたり。

一同:(笑)。

える:「メリーゴーランド」は歌詞には入ってなかったんですけど(笑)。たとえば、えるがデビューしてからどういう道筋を辿って活動しているのかとか、好きな曲とか苦戦したこととか、主にえるに関することを詳細なところまでヒアリングしてもらって。

ーーということは、えるさんへの当て書き的な側面がかなり強い楽曲なんですね。

える:はい、なので歌いやすかったですね。3人(える・童田明治・鈴木勝)で歌ってはいるんですけど。

童田:良い曲だよね。私はえるちゃんの曲って聞いてたから、えるちゃんに寄り添う意識で歌ったよ。

える:私は「にじさんじ」に1期生として入ったのもあって、最初は特に目標がなく活動していた時期もあったりしたんです。マネージャーさんに「目標はありますか」と聞かれても「ないです」って答えることの方が多くて、今でも手探りなことはたくさんあるんです。なので、サビの〈「ぼくは一体何者なのだろう」〉という歌詞はめちゃくちゃ自分に刺さりました。でも、単に自己紹介曲というよりは、自分のことを語りつつ、聴いている人にも「そう考えることあるよね」って問い掛けるように歌ったので、私にも刺さるけど、聴いてくれる人にも刺さるんじゃないかな。

ーーえるさん個人としてだけでなく、グループ全体としての不安や迷いも出ている楽曲だと。

える:そうですね。Rain Drops全体としても当てはまる曲になったと思います。

〈改めまして「はじめまして」〉はCDの帯に書いてほしい(力一)

Rain Drops『エンターテイナー 』Music Video(9/22発売『バイオグラフィ』収録曲)

ーーそういう意味では、逆に1曲目の「エンターテイナー」が今のRain Dropsというグループを端的に表した一曲なのかなと思います。

力一:そうですね。フレーズで言うなら後半の〈さぁ一人ぼっちが集まったら 君と僕らで始めようぜ〉、ここかな。

童田:そこ好き!

力一:ここに総括してる感があるよね。

える:分かる。

力一:「エンターテイナー」はRain Dropsとしてまだまだこれからいろんなことやってくよっていうワクワク感と、でもステージに立って盛り上がるだけじゃなくて、いつの間にかみんなのPCなりスマホなりに入り込んでいるんだよっていう、「一人ぼっちだと思ったでしょ? でも実はいました、Rain Drops」みたいな、そういう二面性がぎゅっと詰まってる。それが僕はすごい好きで。VTuberとしての在り方とか、ネットのコミュニケーションの距離感まで、全部をこの一曲にまとめてくれた感じがします。あとは前半の〈改めまして「はじめまして」〉、ここかな。ライブではみんなで胸に手を当ててお辞儀しながら歌うんです。だからこの一節はCDの帯に書いてほしいくらいだね。

ーーありましたね、帯文。

童田:私、「エンターテイナー」の共作で参加してるじんさんのことが本当に好きなんです。もともと『カゲロウプロジェクト』が大好きで、こんな曲を書けるってことは、じんさんってとっても良い人なんだろうなって思ってました。それからじんさんの人柄まで好きになって。「エンターテイナー」のレコーディングのとき、じんさんから「レコーディング頑張れ!」みたいなメモ紙をRain Drops宛にいただいたんですけど、それを今でもずっとバッグに入れてるんです(笑)。

ーー童田さんにとっても思い入れの強い一曲になったと。

童田:そうですね。なのでじんさんらしさとか、もちろんkemuさん(堀江晶太)らしさも感じますし、Rain Dropsってそもそも個人個人でやってきた人たちが集まったグループなので、集まったみんなも仲間なんだよっていうのをちゃんと出してくれていると感じます。Rain Dropsとしても、私たち個人個人のVTuberとしても当てはまる曲だと思うので、みんなもこの曲を聴いて応援したいと思ってくれるんじゃないかな。

える:「エンターテイナー」は最初、まだ歌詞のないメロディだけをいただいたんです。そのときからずっと耳に残る曲だと思ってました。ただ実際に歌ってみたら、アルバムを通して一番この曲が難しかったんですよね。やっぱり耳で聴いて楽しい曲って音程の上がり下がりが激しかったり、テンポが速かったりするから。そういう意味では良い経験になりましたし、しれっとラップパートにも挑戦できて楽しかったです。

童田:そう言えばこの3人がラップしてるんだね。

力一:2番のど頭ね。

える:たしかにそうだ!

童田:そう考えると、実はわりとこの3人って共通点あるよね。

ーーちなみに、自分以外のメンバーが歌ってる箇所で好きなポイントはありますか?

童田:私「ブギーマン」が好きで。出来上がった音源聴いたとき、なんだこれって(笑)。私には”ヴィラン感”は出せないので、自分には絶対歌えない曲だなって思いました。この3人(緑仙・三枝明那・ジョー・力一)にしか出せない色が出てるし、特に明那ちゃんが歌う〈擦り擦りしてんじゃねえぞ糞駄馬が〉ってフレーズが好き(笑)。

力一:あそこね(笑)。

える:私は「僕らの月は多角形」でシャウトしてるジョーさん(ジョー・力一)が好き。あの曲は歌詞も曲調もめちゃくちゃ強いから、男性パートの力強さに助けられてる。

童田:歌詞も直球で曲もめちゃくちゃアツいよね。私は「formula」の一番最初の力一ちゃん好きだな。曲の聴き始めから、お!ってなる。引き込まれるというか。思うんだけど、えるちゃんと力一ちゃんが歌い始める曲多いよね。

ーーそれぞれに役割が生まれてきてる?

童田:ある気がします。私と緑ちゃん(緑仙)が落ちサビを歌いがち(笑)。

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