遊助、ライブを通じて伝えた人を想う気持ち 新曲「こむぎ」も初披露したツアー最終日レポ
「明日からみんなにいいことばっかおきますように」との言葉からドラムのビートが刻まれ、「明日よcome on!!」へ。ベースとドラムが支えたDメロからギターソロへと高揚する音を繋ぎ、昂った音のバトンを受け取った遊助の声が一段と力強いものになる。続けてダンスソングの「マジ歌」を披露、ハイハットをアクセントにしてダンサーとともにステップを踏むと、一瞬にしてダンスフロアへと変換された。
楽しそうに笑みをこぼした遊助は、「楽しいと思っているうちに終わりの時間が近づいて寂しい」とこぼす。ドラムの中村“マーボー”真行が鳴らしたウィンドチャイムのキラキラした音に流れ星みたい、と反応すると、照明の星が瞬くような明かりで、ロマンチックな雰囲気に。キーボードによるBGMが奏でられ、中村がライトを振ると、客席もそれにこたえてペンライトを振る。海みたい、と反応した遊助は、波になぞらえて「人生いろんな波があったと思います。良い波がなかなか来ないこともあるかもしれないけど、素敵な波に乗ろうじゃないですか」と語りかける。「困ったら空を見上げて俺の曲でも聞いて。そういう曲です」と「檸檬」に繋げた。ストリングスとピアノをメインに感動的に展開すると、一転してイントロから手拍子が巻き起こるライブ終盤の定番曲「みんなのうた」へ。シンプルな音数のAメロを手拍子が彩り、温かい一体感が生まれる。バンドやダンサー、そしてオーディエンスと作り上げた優しい雰囲気の中で「ありがとうございました!」と嬉しそうに笑った。
アンコールの手拍子に誘われるように再び登場すると、「好きなように」で〈生きな〉と何度もまっすぐにこぶしを振り上げる。「Yellow Bus」で〈かかってこいや〉と腕を振り上げ、歓声で応えることはできなくとも遊助とオーディエンスがやりとりをするような時間が構築される。
「これからも自分らしさって、とか思うこともあるかもしれない、言いたいことが言えないこともあるかもしれないけど、そういう殻も思いやりで作ったものだから大切にして向き合って」「一回深呼吸しようよっていう曲です」と新曲「こむぎ」を初披露した。アコギから紡がれる温かい音が身体を揺らし、キックの音が包み込むように響く。葛藤が自然に吸収され力が湧くような楽曲だ。
「みんなの方がすごい人だと思うから、少しでも近くにいられるように、置いていかれないようにと思っています。同じ時代でこうして出会えて光栄です」と丁寧に尊敬の気持ちと感謝を述べる。「俺がいるから大丈夫だっていう気持ちを込めて」とハーモニカとピアノから「クローバー」を演奏。サビ前のスネアの連続が気持ちの切実さを表しているようだった。
メッセージを伝えるのが使命だとでも言うように、MCや楽曲、ライブ全体を通して大切に人を想う気持ちを伝え続けた遊助。歌声と楽曲で季節を巡り、太陽に向かって咲く向日葵のようなまっすぐな気持ちを何度も受け取った夏の終わりのツアー最終日だった。