2020年末でバンド体制での活動を終え、堀込高樹を中心とする変動的な音楽集団へと行したKIRINJIの新曲は、ラッパー・Awichをフィーチャーした「爆ぜる心臓 feat.Awich」を含む3曲入りEP。堀込が劇伴を手がけた映画『鳩の撃退法』の主題歌として制作された表題曲には、パーカッシブなリズム、官能的なサイケデリアをたたえたロックサウンドとともに、嘘と真実、正義と悪、現実と非現実をモチーフにしたリリックが渦巻いている。堀込、千ヶ崎学（Ba）、石若駿（Dr）、川口義之（Sax）による、技術と独創性を共鳴させたアンサンブルも絶品だ。カップリングには、コロナ禍での希望を描いたポップチューン「再会」、バンド時代にコトリンゴが歌った楽曲を堀込のボーカルでリテイクした「恋の気配（2021 Version）」を収録。（森）

　ずっしりとしたヘビィネスを感じさせるサウンドとともにドキュメンタリーのような生々しさを反映した歌が響く「12月2日」、メンバー4人が奏でる音、ポエトリーリーディング風のボーカルが絡み合い、〈お前の想像力が現実をひっくり返すんだ〉というラインが突き刺さる「月光」、鋭利な疾走感と解放的なメロディが印象的な「レボルバー」。フジイケンジ（Gt）加入から10周年を迎えたThe Birthdayの新作『サンバースト』は、コロナ禍によって変貌した世界への鋭いまなざし、そして、ロカビリー、ガレージからハードコアパンクまで、ロックンロールの奥深さを濃密に描き出した充実作となった。“雲の合間から差す太陽の光”を意味するアルバムタイトル通り、未来への希望を感じさせる歌も素晴らしい。（森）