どんぐりず、圧巻のスキルとセンスを見せた緩急自在な一夜 Kroi迎えた『4EP2 NO RELEASE PARTY』レポート

 群馬県桐生市を拠点に活動する2人組、どんぐりずのライブ『4EP2 NO RELEASE PARTY』が7月9日、東京 SHIBUYA WWW Xにて開催された。

 新型コロナウイルス感染予防対策により、キャパ半分での開催となったこの日のチケットは早々にソールドアウト。「まん延防止等重点措置」に伴い、開演時間を予定より1時間繰り上げ18時から行われることになったが、会場には早くから大勢のオーディエンスが集まっていた。

 定刻となり、まずはゲストアクトのKroiが登場。The J.B.'sばりのファンキーなギターカッティングに導かれ、まずは「Monster Play」からライブがスタート。マスクで声は出せないが、〈Monster Play〉のリフレインに合わせてオーディエンスも心の中でシンガロングする。その後も「Custard」や「Page」など、スティーヴィー・ワンダーやジェームス・ブラウン、初期マイケル・ジャクソンらを彷彿とさせるようなオーセンティックなソウル~ファンクミュージックを矢継ぎ早に繰り出していく。その卓越した演奏力と、ゆるいMCとのギャップがまた初見のオーディエンスをあっという間に魅了する。もちろん、独特のフロウと声、グルーヴを持つ内田怜央(Vo/Gt)もカリスマティックな魅力を放っていた。

「人間、バカになれる空間が必要なので皆さん、どんぐりずのライブでバカになってください。また会いましょう」

 内田がそう挨拶した後、最後は2019年リリースの「Fire Brain」を披露。まるでバンド全体が巨大な生き物のように、テンポも拍子も緩急自在に変化していく熱いファンクチューンに、会場からは自然にハンドクラップが巻き起こっていた。

 ステージの機材や楽器が片付けられ、ノートブック1台だけが置かれたシンプルなステージに色とりどりのレーザーが飛び交い、その隙間を縫うようにどんぐりずの2人が登場すると、フロアからは大きな拍手が上がった。2020年のアルバム『baobab』から「dambena」のイントロが流れ出し、変調するシンセサイザーのスペイシーな音色と〈だんべな〉(群馬弁?)のリフレインがフロアを満たすと、あっという間に別世界へとトリップする。ふわふわとした浮遊感たっぷりのトラックとは対照的な、森の超高速ラップが曲後半のざらついたブレイクビーツとシンクロした瞬間に、早くも最初のピークが訪れた。

 続く「マインド魂」では、甘く伸びやかなチョモ(この日のライブで、名前を「チョモランマ」から「チョモ」へと変更)の声が、往年のニューミュージックさえ彷彿とさせるような、どこか懐かしくポップなメロディを歌い上げる。かと思えば中盤からは、ひび割れたディストーションギターが唸りを上げる中、〈ゆうとりますけど〉と連呼する森のラップが聴く者をトランス状態へと誘い込む。とにかく、1曲の中で次々に展開していくプログレッシブなトラック、森とチョモの対照的なパフォーマンスが目と耳を離さず、素っ気ないほどシンプルなステージにもかかわらず全く飽きることがない。

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