YOASOBI、配信ライブの未来の可能性も感じた『SING YOUR WORLD』レポ カメラ越しだからこそ映える演出も

 7月4日、19時。YOASOBI2度目のライブとなる無観客生配信ライブ 『SING YOUR WORLD』は、UNIQLO CITY TOKYOで始まった。

 カメラがUT×YOASOBIコラボのTシャツが展示されている中を進むと、『SING YOUR WORLD』――ライブタイトルが刻まれた看板にたどりつく。そこからさらに広間のようなところへカメラが入っていくと、待ち構えていたYOASOBIの二人とバンドメンバーによって威勢よく始まるのは「三原色」だ。曲に合わせ、赤、青、緑の照明がめまぐるしく点滅する。

 原作は、幼馴染の3人が大人になって再会する様子を描いた小説『RGB』(小御門優一郎)。「RGB」とは、光の三原色である赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)を意味する言葉で、登場人物3人を「R」と「G」と「B」になぞらえられている。このストーリーをもとに、Ayaseは「三原色」に、「会いたい人に思うように会えない世の中で、それでも人と人との関係性の糸が繋がっている」というメッセージを込めた。

 続けて「ハルジオン」を歌った後、ikuraは「ここは有明本部内の『UNIQLO CITY TOKYO』というオフィス内のライブラリです」と紹介。照明が明るくなったことで、ライブラリという名称の通り、彼らが立つスペースが本棚に囲まれた場所であることがわかる。「私たちは小説を音楽にするユニットということで落ち着きますね」と笑い合う2人。本に囲まれて歌うYOASOBIという構図に、昨年末の『第71回NHK紅白歌合戦』に初出場した際のステージとなった、角川武蔵野ミュージアムでのライブを思い出した人も多いのではないだろうか。

 続けて、ikuraはライブタイトル『SING YOUR WORLD』について説明。今回のライブは、ユニクロのTシャツブランドであるUTとYOASOBIがコラボしたことにちなんだライブ。UTのスローガン「WEAR YOUR WORLD」になぞらえて、自分たちの好きを歌い、リスナーにも、自分の「好き」を表現してほしいという思いを込めたという。

 ライブラリ内を歩き回りながら「もう少しだけ」を披露したあと、バンドメンバーから離れ、ikuraが1人きりになったアングルで始まるのは「たぶん」。出て行った恋人のことを、部屋の中で1人思う曲だ。YOASOBIの歴代の楽曲をモチーフにしたTシャツのトンネルの中を歩きながらikuraがこの曲を歌う様は、まさしく記憶の中で思い出に浸っているようだった。

 さらに場所を、PCとデスクの並ぶオフィススペースに移し、特徴的なイントロで始まるのは「怪物」。薄暗い中を赤いネオンライトが明滅し、くしゃくしゃになったプリントが宙に舞っては床に散っていく。普段は秩序の中で業務が行われているであろう空間で行われるパフォーマンスが、楽曲の持つ怪しげな不穏さをより一層引き立てる。

 インストゥルメンタルの「Epilogue」を挟んで、静かな雰囲気の中歌われる「アンコール」。そして、「夜に駆ける」ではカメラが目まぐるしく切り替わり、勢いよく旋回するドローンからの映像が曲の疾走感をより駆り立てる。カメラ越しだからこそ伝わる、迫力ある画だ。

 再びMCに入ると、「映像が映画みたいに編集されているけれど、ちゃんとリアルタイムの配信だとわかってほしい」と、設置されたPCから、視聴者のコメントを読み始めるAyaseとikura。「スクショタイムが欲しい」というコメントに応えてメインカメラに目線を向けたり、衣装についてのコメントに反応したり。この日の二人は、ジャケットの裾部分にプリーツが施された、ドレッシーなおそろいのシルバーのタキシード姿。インナーカラーを入れた髪を二つのお団子にしたikuraは、髪型まで華やかだ。

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