Thinking Dogs、多彩な楽曲とパフォーマンス詰め込んだ6周年記念ワンマン 1年半ぶりの有観客ライブに喜び

 ここで一度観客たちを座らせると、落ち着いた雰囲気の中でMCパートに入り、メンバーそれぞれがコロナ禍での過ごし方を中心に話し始める。歌詞の制作スタイルについて試行錯誤していたという大輝。1年半前と比べて体重が10キロも増えてしまったというJun。コロナ前から空き時間は読書や映画鑑賞をしていたため “人生が自粛中”だというわちゅ~。等身大で飾らない彼らのトークに場が和んだところで、TSUBASAが「コロナ禍でたくさん曲を作ったので、それを今日みんなに聴いてもらおうと思います」と切り出し、新曲2曲をアコースティック形式で初披露した。

 「ひとりでいいよ」は、Junのアコースティックギターとわちゅ~のピアノの音色が混ざり合う、美しいバラード。そして「悲しくなんてないんです」は、女性目線のほろ苦い歌詞が心に染みる曲。両曲ともアコースティック形式での演奏とTSUBASAの歌声にぴったり合う切なさがあり、観客たちは真剣な眼差しでステージを見つめていた。

 ライブは遂に終盤へ。TSUBASAが「今日みんなの前で歌った瞬間に、6周年を迎えたことを実感しました。こういう世の中になって、ライブに代わるものを必死に探したけど、やっぱりなかった。今日もそれを再確認しました。大変な思いをしている人がたくさんいると思いますが、辛いことや苦しいことを忘れられる今日のような日を、これからも作っていきたいです。一緒に乗り越えていきましょう」と、素直な言葉で想いを伝え、さらに、コロナ禍で制作した新曲たちを披露するアコースティックライブを9月12日に開催すると発表した。未来への確かな希望を感じさせながら、この日のラストを飾る「FLAG SHIP」が始まる。彼らの想いと気迫がそのまま音に乗っているような力強い演奏で、熱いステージを最後まで届ける。観客たちはステージに手を伸ばしたり、手拍子をしたりと、思い思いのやり方で彼らの想いを受け止めた。

 曲が終わると、突如TSUBASAが「ちょっと待って」と呟き、ドラム台の前にメンバーを招集する。何やら作戦会議を始めたかと思いきや、客席に向き直ったTSUBASAは満面の笑みで「なんか終わりたくなくなっちゃった! もう一曲やっていいかな?」と、急遽セットリストを追加することに。嬉しいサプライズに割れんばかりの拍手が沸き起こる中、本当のラスト曲「STAND UP」が始まる。最高のアッパーチューンに、観客たちはタオルを振り回し、この日一番の盛り上がりを見せる。ステージに立つメンバーたちも、眩しいくらいにキラキラと輝いていた。

 多彩な楽曲とパフォーマンスがぎゅっと詰め込まれた本公演は、約80分とは思えないほど濃密で、ライブに懸ける熱い想いを感じるステージであった。そしてなにより、会場を後にする観客たちの幸せそうな様子こそが、ライブの成功を物語っていた。これから始まるThinking Dogsの7年目にも、大いに期待を寄せたい。

Thinking Dogs公式サイト

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