今「おじさん」とは、中高年男性という本来の意味以上に「イタさ」を指す言葉になっているように感じる。そういう視点で考えれば、性別に関係なく誰もが「おじさん」化する可能性があるのだ。

　イタい「おじさん」の道をまっしぐらに進むか。それとも、愛すべき大人として若者から慕われるか。その差は、きっと年下からも素直に学びを得てアップデートしていく柔軟さと、ときに「おじさん」化しつつあった部分を指摘されても一緒に笑える余裕があるかどうか。そこにかかっているのだろうと、3人の姿を見て思う。

　また、TikTokに投稿する動画を撮影するとなると、「やるからには！」と本気で取り組むノリの良さも若者たちとの距離を縮めるポイントかもしれない。特に、草なぎの狙いを理解する順応性の高さ、振り付けを覚える速さ、リズム感の良さは、国民的アイドルとしてのキャリアをしっかり感じられるもの。ここぞというときに積み上げてきたものをさりげなく見せてくれるところも、「おじさん」と「頼れる大人」の差とも言えそうだ。

　加齢と共に誰でも「おじさん」な部分が出てくる。ならば、その部分を伏せるのではなく、あえてエンタメとして昇華し、若者とのギャップを埋めていく。そんなことができるのも、草なぎが見せてくれるまた新しいアイドル像と言えるのかもしれない。

　「人生100年時代」と言われる現代。だからこそ、中高年として過ごす時間は必然的に長くなる一方だ。そんな年を重ねていく上でトホホな部分も笑って明るく過ごすヒントを見せてくれる存在として、草なぎはますます活躍してくれることだろう。草なぎ剛の沼は、年々深まっていくようだ。