BTS、各国でのテレビパフォーマンスが与える印象 ボーイズグループに求められるものの違いが明確に
BTSが、全編英語詞の新曲「Butter」をリリースしたことで、全世界から注目を集めている。同楽曲のミュージックビデオは、YouTubeのMV史上24時間最多再生数記録を更新するなど、連日話題で持ちきりだ。「Butter」のパフォーマンスを初めて披露した『2021 ビルボード・ミュージック・アワード』でのステージも圧巻であった。それぞれのメンバーの歌パートでは、各メンバーの“主人公感”が際立っており、誰もが憧れるスター性を放っていた。最近はBTSの他にもアメリカのTV番組でパフォーマンスをするK-POPグループが増えている。韓国や日本の番組に出る機会も多い中で、各国ごとでパフォーマンスやステージに異なる特徴や印象を受けることがある。本稿では、日本・韓国・米国それぞれの番組でのパフォーマンスから、BTSの持ち味と今後について考察していく。
BTSの偉業は無論、彼らの出身国である韓国での活動から始まった。BTSはデビュー当初から、ダンススキルの高さやクリエイティブな一面で一目置かれていた。そのため、韓国の音楽番組全体の傾向である“引き”の映像から、息の合ったパフォーマンスを多くの人にアピールできたのだろう。これまでBTSが韓国の音楽番組に出演してきた中でも特に印象的だったのは、「DOPE」のカムバックステージである。360度をファンとカメラに囲まれ、スタイルの良さが際立つシンプルな衣装でパフォーマンスをするBTSは、実力勝負できるグループとしての印象を強く与えた。
また、メンバーの動きに合わせてカメラのズームがキレよく変わるような凝った演出も、韓国の音楽番組ならではかもしれない。「FAKE LOVE」のカムバックステージでは、JUNG KOOKの序盤のダンスのソロパートでこの手法が使われていた。このように韓国の音楽番組では、BTSのパフォーマンスのダイナミックさを様々な工夫で届けてきたと言える。
上記の特徴は、日本のファンにとっては“K-POPあるある”としても知られており、度々日本の音楽番組と比較されることがある。というのも、日本と韓国では、グループに求められるものや人気の出方に違いがあるからか、出演番組によっては韓国の音楽番組ではあまりフィーチャーされないような魅力も溢れてくる。日本の音楽番組では、アーティスト全体を映すというより、一人一人の表情がカメラに抜かれることが多く、そのためにカメラワークもシンプルである。BTSが日本の音楽番組に出演した時もそれは例外でなく、確実に“引き”で欲しいところは押さえながらも、メンバー一人ひとりにフォーカスされることが多々あった。メンバーがそのような特徴を認識しているかはさておき、日本の音楽番組で「Dynamite」を披露した際には、所々にアレンジや遊び心を利かせており、普段のパフォーマンス時はクールなメンバーのチャーミングな一面を感じることが多かった。そのような違いから、同じ楽曲のパフォーマンスでも日韓での印象の違いが発生しているのではないだろうか。