乃木坂46、4期生という“ユニット”が持つ未知の可能性 グループの文脈に依存しない確固たる個性

 乃木坂46の『9th YEAR BIRTHDAY LIVE ~4期生ライブ~』が5月8日に配信で行なわれた。日程を分散したスケジュールで実施されている期生別ライブのうち、3月下旬の2期生ライブ、1期生ライブに続いての開催となる。

 この日の公演で4期メンバーが見せたのは、表現力の進化はもちろんのこと、乃木坂46というグループが持つ既存の型を相対化してみせるような、新たな可能性だった。

 遠藤さくらがセンターを務める「夜明けまで強がらなくてもいい」で開幕したライブは、清宮レイと筒井あやめがWセンターに立った「逃げ水」、早川聖来センターの「バレッタ」、そして「ぐるぐるカーテン」へと続く。すなわち、4期から1期までの各期がそれぞれ初めてシングル表題曲に参加した楽曲をさかのぼりながら、グループの足跡を振り返る構成をとる。

 彼女たちが先達の築いてきた歴史を背負うコンセプトは、4期生16人による初めてのワンマンライブだった昨年12月6日の『4期生ライブ 2020』の序盤ブロックとも呼応する。もっとも、この日のパフォーマンスではそれらの楽曲が、すでに4期生オリジナルのカラーで昇華されていた。彼女たちがグループの節目となる楽曲を継承することの意義は、もちろん小さくない。けれども、そうした文脈のみに依存しないオリジナルの個性を、4期生というユニットは持ちつつある。

 続いて、和傘や“下駄ップ”等の道具立てを用いて、和モチーフのアレンジが施されたバージョンの「水玉模様」「ガールズルール」、その後、光る手袋によるパフォーマンスやご当地クイズ、自転車発電などの企画を織り込みつつの楽曲披露が行なわれる。これらは、主にグループの活動初期にライブで行なわれた企画を踏襲するものだ。このブロックでは、冒頭とは異なるかたちでグループの歴史を回顧し、その試行錯誤の跡を追体験していく。

 とはいえ、同ブロックの演出面に限っていえば、そうしたかつてのグループの模索を再現し、メンバーたちをいささか弄するような企画性に傾斜するよりも、4期生が現在持っているパワーをストレートに信じてもよかったのではないか。特に新4期生を含んだ全員の足並みが揃い出した今日、音楽番組出演などで外向きの求心力を急速に蓄えている彼女たちの本領は、オーソドックスに楽曲パフォーマンスに紐付いた部分にこそあるはずだ。

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