SuperM、NCT-Hollywood……米企業とタッグ組むグループも 新たな展望見据えるK-POP、アメリカでの成功の鍵は?

 まず、アメリカにおけるK-POPグループの特異性の1つが“アイドル”としての魅力ではないだろうか。アジア地域で発展してきたアイドル文化は、そのほかの地域、特にアメリカではまだまだ「海外のポップカルチャー」というイメージが強い。

 “アイドル”としての魅力、というのはさまざまな場面に現れる。制作のビハインドやリアリティ番組、K-POP特有のコンテンツで言えばV LIVEで見られるメンバーとの距離感の近さもそのうちの1つだ。こうしたパフォーマンス時以外の魅力も、ステージの上や誌面で見せる「エギョ(韓国語で愛嬌)」も“アイドルみ”の強い彼らのチャームポイントである。

 また、ステージ上では全員が揃った衣装を着たり、コンセプトの統一された衣装を身に纏ったりする。ボーイバンドもラフな衣装で揃えることはあるかもしれないが、煌びやかな衣装でそれをするのはアイドルならではだろう。

 そして、K-POP的なパフォーマンスもカギの1つと言えるだろう。完成度の高いダンスの中でも、カル群舞と言われる全員の動きがピッタリと揃ったダンスはK-POPグループのステージの特徴である。他にもボーカルラインとラップラインがそれぞれのパートを歌い上げて1曲を構成していくところや、ファンが追いかけて歌うフレーズを含んでいる楽曲なども新しく感じるのではないだろうか。

 こうしたK-POPの特徴はつまりアメリカの音楽市場にとって新しいものであり、それらがうまくはまると人気につながるのだろう。

 K-POPはまさに世界にとっての大衆文化、すなわちポップカルチャーとして受け入れられるようになってきている。アジアというコミュニティを超越して活動するのは容易なことではない。離れた文化圏で注目を浴びるということは、それと同時にさまざまな目線を向けられるということだ。

 そこではアーティストである彼らが持つべきリテラシーもファンダムが持つリテラシーも重要視される。やはり“アイドル”であるK-POPスターを語る上で、ファンダムのことは無視できない。良くも悪くも彼らの成功のための3つ目の鍵は、ファンダムだと言えるだろう。

 彼らのアーティストとしての魅力、そして最高のファンダムの力、全てが揃ってこそ、ポップカルチャーとしての彼らは輝いていく。

■フルヤトモコ
1999年生まれの大学生。韓国のカルチャーと洋楽、本、映画など。
東京藝術大学 音楽環境創造科在籍。

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