『FLASH』特別対談インタビュー

塩入冬湖(FINLANDS)×三上丈晴(『ムー』編集長)特別対談 未解決の謎に満ちた“オカルトの魅力”を語り合う

 塩入冬湖率いるバンド FINLANDSが3月24日にニューアルバム『FLASH』を発売した。FINLANDSとしては3枚目、メンバーが塩入のみの体制になってからは初のアルバムとなっている本作。その発売を記念して、かつてより塩入が熱望していた対談が実現した。お相手は、雑誌『ムー』編集長の三上丈晴である。何を隠そう、塩入は大のオカルト好きだ。

 塩入自身に、霊感の類はない。しかし、彼女がオカルト好きになるきっかけは、自身のルーツに根付いたものだった。そんな彼女が普段から気になっていた、例えば心霊写真に本物はあるのか、霊感がある人とは何なのかなどの疑問を三上編集長に直接質問。“解明できないもの”への魅力が自身の音楽制作に繋がっていることなど、余すことなく語ってもらった。(アナイス/ANAIS)

心霊写真に“本物”はある!? 「写っているどころか普通に話せる」

塩入冬湖

ーーそもそもオカルト好きになったきっかけは何でしょう?

塩入冬湖(以下、塩入):うちの祖母が秋田出身で、小さいころから人が亡くなったりすると、イタコさんを家に呼ぶ習慣があったという話をずっと聞いて育ってきました。祖母自身もすごく霊感が強い人で。小さい時は、まだテレビでもオカルト番組がたくさん放送していたので、それを疑うことなく観ながら、霊や不思議なものを信じて成長してきました。大人になってからやっと「私がすごく好きだと思っていたものが、オカルトと呼ばれる類なんだ」というのがわかり、そこからさらにハマっていきました。

三上丈晴(以下、三上):出身が青森で。キリストの墓がある、怪しいところなんですけどね。幼少期は1970年代ということで、まさにUFOやネッシーの特番だったり、盆の季節は『怪奇特集!!あなたの知らない世界』とか、廃墟もの、心霊ものだったりのオカルト番組が昼間にやっていました。

塩入:昼間にやっていたんですか?(笑)

三上:やっていましたね。あと大体、小学校に心霊写真集とか持ってくるやつがいた。そうすると、もう昼休みとか休み時間に人だかりになってみんなで見ていました。

塩入:(笑)。そういう心霊写真集とか、その頃売られていたんですか?

三上:はい。今はもうないのかな。中岡俊哉さんという有名な方が集めて書いた『恐怖の心霊写真集』というシリーズがありました。あれはなかなか強烈でしたね。

塩入:『ムー』にはたくさんの心霊写真が送られてきて、その中の1%くらいは本物があるって以前インタビューで拝読したのですが……。

三上丈晴

三上:今は紙焼きの写真はほとんど見ませんが、入社した1990年代前半くらいは、毎日のようにたくさん心霊写真が送られてくるんですよ(笑)。なので、月に1回それを調べるのが新人の役割で、開封するといきなり塩がざーって出てくることもありました。ただ、思い込みの物も多くてなかなか……。パッと見、特に紙面に載せて「心霊写真ですよ」という風にわかるようなものとなると、大体100枚に1枚か2枚かです。それで、ガチなやつは、もう見た瞬間に「あ!」ってわかります。

塩入:わかるんですか?

三上:写真の雰囲気がもう明らかにおかしいんです。当時は、今みたいにCGとかそういう技術がなかったので、加工でもない。よくある木とか影が顔のように見えるとかではなく、もう生きている人っていうくらい、そこに写っている。これは本当にわけがわからない、というものがあるんです。ゾッとしますよ。

塩入:『ムー』に載っていた心霊写真って、少し見切れているとかではなく、きちんと「人!」とわかるものでしたよね。透けて人が重なっている集合写真とか見ると、どういう原理なんだろうな、と怖いを通り越して思ってしまう。

三上:例えば特定の人にだけ見えている場合。1人が「あそこにおばあさんが立っている」と言うような見え方は、もしかしたら幻覚かもしれない。しかし、さらに2人以上の複数人が「そこにおばあさんがいる」と言うとします。見える人たちが「右行った」「左行った」と同じような描写をするとしたら、そこには客観性が生まれる。実在しないけど言ってみれば、2人の間には確実に“いる”んです。これは幽霊現象という言い方をして、いくつか段階がありますが、やはりヤバいのは“誰が見てもそこに人がいる”とき。このレベルにもなれば影もあるし、食事もするし、写真にも写る。しかし、この世には存在しない。ここまでくると、ある種、霊が物質化しているんですよね。

塩入:影もできるんですか?

三上:影どころじゃないですよ。本当に普通の人間と話しているようなんです。会話以外にもいろいろな行為が実際に行われている。だから、死んでいるのか、生きている人間なのかわからないんですよ。しかし、聞いてみるとその人は1カ月前に死んでいた……というケースも。これこそ幽霊現象、超常現象です。

塩入:そういう現象に遭ったことは何度もありますか?

三上:霊能者じゃないので、なかなかね。特にその可能性のあるヤバい場所には、普通行かないですから。若手や研究者が「撮ってこい」と言われて行くことはありますが。

塩入:三上さんも入社したての頃は行っていたんですか?

三上:ちょっとした事件とかには、ライターや研究家の方と行ったことはあります。しかし行ったからといってなかなか遭遇はしません。撮影もあるので、真夜中に行かないし。今の怪談収集家の方々は積極的にそういうところに、それこそお守りも一切つけずに幽霊やそういった現象を求めに行っているんですけどね。

塩入:そうですよね。それは会えてなんぼ、ですよね。

三上:会えてというか、“ちゃんと映像に写ってなんぼ”でもありますね。

霊感のある人には特徴がある? “見える人”の四カ条

塩入:私自身、霊感というものが一切なくて今まで見たことがありません。なので、見たことのないものをこれだけ信じられる、その魅力があるオカルトってすごいなと思います。

三上:見えると言えば、霊感がある方って大体、女性なんです。霊感がある、何かが見える人は男性と比べたら圧倒的に女性の方が多い。特に、見える系の人には特徴があるんですよ。まず、体温が34℃くらいで低い。

塩入:あれ……私、平熱34℃台です。

三上:あとは、左目の視力が極端に悪い。そしてこれまでに死にかけたことがある、もしくは、難産だった。あと、同じような能力を母方のおばあさんが持っていたりすると、かなりの確率で、その人もそういう能力を持っているケースが多いです。この4つが全部当てはまると、まず間違いなく見えているかな、と。

塩入:九死に一生を得た人が、そういう能力を得たというのは何度か聞いたことありますが、左目の視力というのは初めて聞きました。

三上:実は、これには医学的にちゃんとした学名もついていて。左目の視力が悪いとか、視力を失った人はある種、幻覚を見やすいというケースがあります。なぜかというと左目は右脳とリンクしていて、右脳は映像を写す場所だから。なので、頭の中で捉えられた映像が重なって見えるんです。今はテクノロジーが発達してきたので、科学技術的にテレパシー、相手の思いを感じたり、相手を動かしたりすることも可能と言われています。電磁波を共有して、脳の中の情報を読み取るということも説としては、十分成り立つ。特に、今の技術はすごくて、寝ている人の脳波を全部取ってモニタリングできるんです。例えばゾウの写真を見せてから寝かせて測定し、脳内をモニターで見ると、そこにはちゃんとゾウが映る。解像度は低いですが、原理的にはそれが可能です。なので、霊能者の方は十人十色ではありますが、本人が忘れているものも含めて見る人の記憶にあるものを引っ張り出して、自分の目で映像化して語る、というメカニズムなんです。

塩入:はぁー……! すごいですね。頭の中が見えるという能力。もちろん、私が今誰かを見ても何も見えてこないので、見える方のビジョンがまったく想像できません。

三上:相手の心や思っていることが無意識にわかってしまう、という能力もあります。しかし、それは社会生活を送る上では邪魔ですよね。相手の言っていることと思っていることが違ったり(笑)。

塩入:絶対嫌ですね(笑)。

三上:だから社会生活を営むにおいては、ないほうがいい。ただ人は命の危険が差し迫ったとき、火事場の馬鹿力ではありませんが、「今、この状況から脱出しなきゃ死んでしまう」という状況になったとき、脳があらゆる方法を探って打開策を考えます。そこで普段は使わない能力にスイッチが入ってしまう。なので死にかければ死にかけるほど、その度合いは強くなる。特に臨死体験をすると、生き返った時に普段ロックされていた能力が外れたままになり、そこから一種の超能力とか霊能力が生まれます。

塩入:心の問題も発生しそうですよね、そこに耐えられるかっていう。今まで見えなかったものが見える世界って、私は面白半分で羨ましいなと思いますが、日常がそうだったら、辛いだろうな……。