セントチヒロ・チッチ、人を惹きつける“飾らなさ”が魅力に BiSHメンバー分析第2回
彼女のキャラクターは、つかめそうでつかめないーー。6人組の“楽器を持たないパンクバンド”BiSHのセントチヒロ・チッチに抱いた、第一印象がそれだった。しかし、グループの歌を聴き、ライブを見るうちにその考えは払拭されていった。メインボーカルとして、アイナ・ジ・エンドと共に楽曲の核を支える彼女。活動にかける姿勢は、BiSHのファンである“清掃員”たちの気持ちを一つにしてくれる。
キャプテン降格という“挫折”を味わう
ときに、破天荒なパフォーマンスも目立つBiSH。結成からの歴史を知るオリジナルメンバーのチッチが、グループへの加入前、正統派のアイドルグループにいたのは意外だ。
当時を振り返るインタビューをたどると、ところどころで「猫を被っていた」と彼女はつぶやいている。その奥には、他人からどう見られているのかを気にする思いや、嫌われたくないという思いがあった。そんな日々を変えるために、チッチはBiSHのオーディションを受けようと決断した。 その後、加入してすぐにBiSHのキャプテンへ就任。グループのためにと奔走する日々であったが、そのために彼女は“挫折”を味わうことになる。
2016年に巡ったツアー『IDOL SWiNDLE TOUR』で行われたのは「DiET or DiE」という企画。当初の体重から約1カ月で“-5kg痩せる”と公約を掲げたものの、目標を達成できず同年3月19日の沖縄公演で“キャプテン降格”となったチッチ。翌日のグループ公式ツイートにも「キャプテンは降格していただきます」「挽回という二文字はありません。強いていうなら逆転という二文字はあります。非常に残念です。」と、辛らつな言葉が並んでいた。
のちに、そこには自分の甘さがあったと幾度か振り返ったチッチ。しかし、そんな彼女が「過酷な試練を何度も乗り越えてきた」と著書『目を合わせるということ』で語ったのは、同じくオリジナルメンバーのモモコグミカンパニーだ。「メンバーの前やお客さんの前で涙を流す彼女の姿を何度も見た」と述べるモモコは、「チッチを見れば、最新のBiSHの状態が分かる」と明かしている。