『Kan Sano Talks About Pop Music』

Kan Sanoによる新連載『Kan Sano Talks About Pop Music』スタート 第1回目はThe Beatlesを解説(前編)

Kan SanoがThe Beatlesから受けた影響

 The Beatlesは僕にとって影響を受けたというよりは、曲作りの基本を教えてくれたという感じです。それこそコードという存在を知ったのもThe Beatlesですし。譜面を見てみるとCとかC7、Cmとか書いてあるわけですよ。それを一つ一つ覚えていって、こういうコードの後はこういうコードをよく使うんだとか。そういったルールを知る勉強材料になりましたね。

 例えば、コード進行の基本としてスリーコードって大きく3つに分類されるんですけど、The Beatlesってそれ以外のコードもいっぱい使っているんですよね。例えば「Let It Be」のイントロだったら、「C」「G」「F」のあとに「Am」を入れることで深みを出していたり。「C」の代わりに、近い役割にある「Am」を置くことで響きを変えたりしていて。今では当たり前に誰もが使っているコードですが、「こういう流れも作れるんだ」って最初に発見したときは感動しました。

 あとは、The Beatlesがいろんな楽曲で使っていた定番として、「C」「CM7」「C7」「C6」……って構成音が半音ずつ下がっていく(ド→シ→シ♭→ラ)コード進行もあるんですけど、こうすることで緊張と緩和が生まれて、曲に流れができていくんですよね。

 もちろん洋楽でも今のJ-POPでもよく使われていますし、全員がThe Beatlesに影響を受けているのかはわからないですけど、僕は全部The Beatlesで学びました。

改めて考える、The Beatlesの魅力

 ジョンとポールっていうとんでもない天才が、一緒に一つのバンドをやっていたっていうことがすごいです。特に初期なんかは一緒に作曲していて、たとえばポールがメインで作っている曲でも、Bメロだけジョンが作っていることもあって、Aメロで歌っていることに対してちょっと違う角度からいくんですよね。そうするとAメロとBメロで対比が効いてくるんです。

 あとは楽器へのこだわりもすごくて。リンゴ・スターのドラムのフィルとかも全部歌えちゃうんですよね。「ここを聴かせる」みたいなフレーズを作るのがうまくて、そういったところにもこだわりを感じます。

 それぞれものすごい才能の持ち主で個性もバラバラなんですけど、全員が揃って演奏することでマジックが起きるんですよね。それがこのバンドのスペシャルなところなんだと思います。(後編へ続く)

■リリース情報
「Natsume」
4月28日(水)
レーベル:origami PRODUCTIONS
形態:配信+ストリーミング
配信はこちら

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