新譜連載「本日、フラゲ日!」
三浦大知、マカロニえんぴつ、Nulbarich、堀込泰行……4月21日リリースより新譜4作レビュー
Nulbarichの新作アルバム『NEW GRAVITY』はキャリア初の2枚組。DISC1には、映画『HELLO WORLD』主題歌「Lost Game」やテレビ東京系で放送中のドラマ『珈琲いかがでしょう』のエンディング曲「CHAIN」などオリジナルの12曲を収録。DISC2では、Vaundyやヨルシカのn-buna、タイのシンガーソングライターPhum Viphuritら多彩なアーティストとのコラボ曲やリミックスを収め、精力的に世界観の拡張に挑んだ。全体的に曲調のトーンは抑えめではあるものの、その分JQが自身の音楽性と深く向き合い、1音1フレーズに至るまで精度を高めて制作した様子が見て取れる。シーンを切り拓いていくしなやかな個性は、ニューノーマルな世界の入り口に立ち静かに躍動している。(渡部)
冨田謙(Key)、八橋義幸(Gt)、柏井日向(エンジニア)を共同プロデューサーに迎えた堀込泰行の3rdアルバム『FRUITFUL』。神聖なイメージをたたえたメロディと〈星はいつも僕らの/孤独や涙を見つめてる〉というラインが響き合う「Stars」、エッジの立ったギターリフを軸にしたロックンロール「Here, There And Everywhere」、シンガーソングライター阿部芙蓉美の作詞による朗らかなレゲエ調のナンバー「光線」70年代ソフトロック直系のサウンド、普遍的でクラシカルな旋律が印象的な「5月のシンフォニー」など、豊かなルーツミュージックに裏打ちされた楽曲が並ぶ。洗練されたコード進行、メロディメイカーとしての資質はもちろん、シンガーとしての豊かな表現力を堪能できるのも本作の魅力だ。(森)
■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。
■渡部あきこ
編集者/フリーライター。映画、アニメ、漫画、ゲーム、音楽などカルチャー全般から旅、日本酒、伝統文化まで幅広く執筆。福島県在住。