三代目J SOUL BROTHERS メンバー分析【入門編】Vol.2:小林直己

三代目 J SOUL BROTHERS 小林直己、ダイナミックなクランプダンス 細やかな気遣いでグループ支える存在に

 アマチュア時代から、クランプに特化したダンスチーム RAG POUNDに所属していたように、得意とするダンスジャンルはクランプ。もともとはストリートでの抗争や暴力を止めるため、それに代わるものとして生まれたダンスであり、足を踏み鳴らす“ストンプ”、胸を突き出す“チェストポップ”、力いっぱい腕を振り下ろす“アームスイング”といった、身体を大きく見せて挑発するような動作が特徴だ。長身を活かしたダイナミックなクランプは迫力満点である。なお、クラブで活動していた頃のRAG POUNDには、PATO・SEVA・AKIRA(EXILE)・TETSUYA(EXILE)・NOB・JUN・REO(GENERATIONS)・TAKESHIといったメンバーが共に所属していたが、現在は®AG POUNDに名前を変え、JUN(Twiggz)・AKIRA・GUN(Boi Twiggz)こと岩田剛典・REO(Lil Twiggz)こと佐野玲於・MANDY(Monsta Twiggz)こと関口メンディー・SHUN(Baby Twiggz)・SHU-TO(Soulja Twiggz)、そして小林直己がNAOKI(Jr Twiggz)として所属。2019年に®AG POUNDがdocomoのCMに出演し、クランプを披露したことは、アンダーグラウンドで活動してきたダンサー達にとって重要な一歩と言えるだろう。

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 パフォーマー以外に、俳優やモデルとしても活躍している小林。デビュー前から出演していた舞台に加えて、2014年には時代劇『医師 問題無ノ介』で映像作品に初出演。同作で主演を務めた杉良太郎からの「役者は日ごろの過ごし方が大事。悪役なら常に笑うな」(※3)というアドバイスを真摯に受け取ると、メンバーにも告げず、突然笑わないようになる(現在は笑顔解禁済み)。それまで笑顔だった小林のキャラチェンジに、メンバーもファンも戸惑いを見せていたが、持ち前のスタイルの良さにクールなイメージが加わったためか、2016年にはモデルとしてパリコレデビュー。2017年には、出演した映画『たたら侍』が世界8カ国で開催された映画祭で計20の賞を受賞し、小林直己個人としても、ニュージーランドの『オークランド国際映画祭』で最優秀助演男優賞を受賞。着実に活躍の場を広げ、2019年にNetflixのオリジナル映画『アースクエイクバード』でハリウッドデビューを果たすと、流暢な英語や堂々とした演技が世界的に高く評価された。

 そんな小林直己のキャラクターは、“繊細で真面目な三代目の軸”。メンバーによると、最年長としてリーダーシップを発揮するNAOTOが父親のような存在であるのに対し、小林は細やかな気遣いでメンバーをフォローする母親のような存在だそうで(※4)、物腰の柔らかさから“直己先生”の愛称でも知られている。書評を寄稿する読書家な一面や、SNSで見せるおちゃめな素顔など、ワイルドなダンス姿からは想像できない表情も彼の人気の理由だろう。

 とはいえ、この個性を前面に出せるようになったのは、EXILEに加入して3年目、EXILE HIROに「もっとEXILEになった方がいい」(※5)と言われてから。それまでは個人で叶えたい夢もなく、なかなか個人の仕事が増えない状況に悩んでいたそうで、後のインタビューでも「僕はずっと、コンプレックスばかりだったんです。自分には武器がないんじゃないかと思っていました。でもその一方で、ここまで一生懸命生きてきたんだから、そんなはずはないと思う自分もいました」(※6)と語っている。その中で改めて自分を見つめ直し、未来を見据えて懸命に勉強した“英語”が、グローバルな活動が当たり前になった現代においては大きな武器に。現在はLDHのアメリカ支社となるLDH USAのDirectorとして、さまざまなプロジェクトのプロデュースを行うほどになっている。EXILE、三代目 J SOUL BROTHERSの一員として愛のある活動する一方で、いずれはアメリカに移住することも視野に入れながら、個人活動を行っているという(※7)。コンプレックスを乗り越え、自分の夢を追い続ける彼の背中が、“EXILE魂”とは何かを教えてくれる。

※1:https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/stop01/interview/20190819-OYT1T50168/
※2:https://www.sankei.com/entertainments/news/200218/ent2002180004-n1.html
※3:https://post.tv-asahi.co.jp/post-109324/
※4:https://numero.jp/culture-20130218-jsoul/
※5:https://books.bunshun.jp/articles/-/5165
※6:https://woman-type.jp/wt/feature/15767/
※7:https://www.dailysunny.com/2019/06/14/interview0614/

■斉藤碧
エンタメ系ライター。
ダンス&ヴォーカルグループ、アイドル、ロック、ヴィジュアル系、俳優などジャンルレスで執筆中。V系雑誌「Stuppy」では編集も担当。
Twitter(@stmdr38)

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