重盛さと美が開花させる音楽的才能 自らのポジションを武器にした“リアル”のあり方

 そもそも、今でこそラップ/ヒップホップにおける表現やサウンド、そこから想起されるイメージも多様化を重ねたが、重盛自身が求めているかは別として、彼女は取り立ててラッパーという“役割”(=キャラクター)に縛られる存在ではない。彼女の楽曲を聴いても、前述した通り自身と向き合ってその感情を披露し、時に友人と作品を作り上げる過程を楽しんでいるようである。

重盛さと美feat.友達「自粛中ラップ ~アーメンver.~ 」🍜🙏🔥【Official Video】

 だからこそ、自身や周囲の音楽的知見を活用しながら、ヒップホップを愛聴する一人のフォロワーとして感じたことを、ラッパーではなくマルチタレントやアーティストとして、幅広いサウンドレンジで自由にミクスチャーしてしまえるポジションは、見る人によっては極めて羨むべきものだろう。今回の『PENGUIN』でも特に「GOOD night」「L.M.G」においては、自身の歌声の持ち味をベースに、例えばビリー・アイリッシュにも通ずるASMRのようなボーカルアプローチをしていたことは、重盛がさらに音楽的才能を開花させる兆しとも捉えられるのではないだろうか。

 もし自分がラッパーだったら、今の勢いにのった重盛さと美を客演アーティストとして間違いなく迎え入れたいと思う。一人のアーティストとして自立し、音楽活動の可能性は未知数。『PENGUIN』は、そんな感想を抱く一枚だった。

(※1)https://www.vanitymix.jp/music/shigemori-kiho/3/

■一条皓太
出版社に勤務する週末フリーライター。ポテンシャルと経歴だけは東京でも選ばれしシティボーイ。声優さんの楽曲とヒップホップが好きです。Twitter(@kota_ichijo)

■リリース情報
配信EP『PENGUIN』
M1. PENGUIN
M2. GOOD night
M3. L.M.G
M4. 自粛中ラップ 〜アーメンver.〜 feat.友達
発売元:Scratch Records

ダウンロード&ストリーミングはこちら

・自粛中ラップ 〜アーメンver.〜 feat.友達 Music Video 
https://youtu.be/NTdg7dhSLdE
・PENGUIN ダイジェスト
https://youtu.be/20V9su0bNSk
・重盛さと美 feat.友達 「TOKYO DRIFT FREESTYLE」Music Video
https://www.youtube.com/watch?v=1tO5Bifw6U4
・希帆 feat.友達「uchiseiuchi」Music Video
https://www.youtube.com/watch?v=gU0Y8En1snU

Scratch Records HP

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