「寄り酔い」週間バイラルチャートで初1位 和ぬかが生み出す“アンビバレントな感情”への共感

参照:https://spotifycharts.com/viral/jp/weekly/latest

 Spotifyの「バイラルトップ50(日本)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top 50チャート」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたプレイリスト。同チャートを1週間分集計した数値の今週分(3月11日公開:3月4日~3月10日集計分)のTOP10は以下の通り。

1位:和ぬか「寄り酔い」
2位:ElyOtto「SugarCrash!」
3位:Awesome City Club「勿忘」
4位:Mom「あかるいみらい」
5位:フレンズ「NIGHT TOWN」
6位:SawanoHiroyuki[nZk]:ReoNa「time」
7位:LOREN & MASH「THANATOS -IF I CAN’T BE YOURS」
8位:Kali Uchis「telepatía」
9位:レミオロメン「3月9日」
10位:Leat’eq「Tokyo」

和ぬか「寄り酔い」

 今回はSpotifyウィークリーバイラルトップ50初チャートインにして1位を獲得した和ぬか「寄り酔い」にスポットライトを当ててみよう。突如として頭角を現した本楽曲の人気の秘密はどこにあるのだろうか。そこには「アンビバレントな大人のラブソング」というキーワードが浮かび上がってくる。

 「寄り酔い」は、またしてもTikTokをはじめとしたSNSから人気に火がついた楽曲で、2021年に入ってから徐々に再生回数を伸ばしてきた。この楽曲を手掛ける和ぬかは、現役大学生のシンガーソングライターであること以外の情報を公開しておらず、謎に包まれた存在だ。現役学生シンガーソングライターによるSNS発のヒット曲といえば、Ado「うっせぇわ」が真っ先に思い浮かぶ方も多いかもしれない。「うっせぇわ」がティーンのレジスタンスソングだとすると、「寄り酔い」は大人のラブソング。少し危うさを感じさせる大人な情感が得も言われぬ“エモさ”を醸し出す。それが「寄り酔い」だ。

 印象的な楽曲タイトルは、〈酔いで寄りたいの〉のラインから引用した造語で、“酔いにまかせてこみあげてくる秘めた思い”を象徴している。“秘めた思い”はラブソングの題材としてしばしば取り上げられるテーマではあるが、「寄り酔い」ではいつもは押し隠していた秘めた思いと、お酒の力によって芽生えた大胆な気持ちとのせめぎ合いを描き出した部分に、ラブソングとしての特異性があるように思う。お酒や酔いを、“気持ちに変容を与えるアイテム”として見事に機能させたことで、相反する気持ちを巧みに表現することに成功しているのではないか。

寄り酔い/和ぬか【Music Video】