22/7(ナナニジ)、帆風千春が飾った有終の美 リーダー卒業を経て踏み出す新たな一歩

 デジタル声優アイドルグループ22/7が2月28日、パシフィコ横浜国立大ホールで7thシングル『僕が持ってるものなら』発売記念ライブを行なった。この日は、ニューシングルに収録されている楽曲すべてをパフォーマンスする披露目のイベントであると同時に、グループのリーダーを務めてきた帆風千春の卒業ライブでもある。昼夜2公演が行なわれた同イベント、ここでは帆風の22/7メンバーとしてのラストステージとなった夜公演にスポットを当ててライブの模様を伝える。

22/7

 夜公演は、「シャンプーの匂いがした」「未来があるから」の2曲でライブスタート。昼公演では「理解者」「韋駄天娘」をセットリスト冒頭に配置し、序盤からハイスピードで飛ばしてみせたが、夜は一転、爽快な印象で幕を開けた。

 もっとも、夜公演序盤を飾った2曲はそれぞれに、慕わしい人が去ってゆく切なさや、未来を見据えることへの複雑な感情が込められた作品である。昼夜いずれもデビュー1年目の楽曲で開演しつつも大きく印象を変え、夜公演では帆風の卒業をより強く意識したものとなった。

 「風は吹いてるか?」から始まる次のブロックでは、11人体制が基本となって以降の楽曲が立て続けに披露される。「ロマンスの積み木」「Rain of lies」、そして「何もしてあげられない」へとつないでゆくセットリストであらためてうかがえるのは、22/7が楽曲ごとに豊かな意匠を織り込んだダンスで魅せるグループでもあるということだ。特に各メンバーの個性が際立ってきた現在、これらの作品はグループ総体としても、また個々人にクローズアップしてみても、格段に面白味を増している。

 メンバー個々が強さを増してきたからこそ、今回の7thシングルがトータルとして持っている振り幅の広さもより効果的になる。ライブ中盤からは、リリースされたばかりのシングル収録曲が次々に披露される。

 紅白2組に分かれたユニット曲のうち、「甘ロリ」をコンセプトにした白組「キウイの主張」では涼花萌を中心にして、語るように言葉を置いてゆきながらキュートな世界観を貫徹させる。一方、「パンクゴシック」を掲げる紅組「雷鳴のDelay」はドラマティックなロックナンバー。戦隊ヒーローもの的な意匠を織り込んだ振付には、有無を言わせぬ痛快さが宿っていた。高辻麗がコンセプトを発案し、ファンのアンケートによって選ばれた対照的な2組のユニットは、いずれも22/7全体で披露する楽曲とは一味違うクセを持ち、しかし同時にキャラクターを演じることに長けたこのグループの強みが活かされたものになった。

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