w-inds.が新しいチャレンジを続ける理由 20周年に向き合う過去、現在、未来

w-inds.がチャレンジを続ける理由

G-DRAGONとのコラボも アジアを中心とした海外との接点

w-inds.(写真=はぎひさこ)

ーー2005年前後からは音楽性がかなり広がっている印象がありますが、メンバーの意志も反映されていたんでしょうか?

慶太:5年目くらいからは自我が芽生えてきましたね(笑)。「十六夜の月」は、僕が「この曲をやりたい」って言ったんですよ。その頃はダンス系とは別に、歌詞の世界が美しいものが好きで。「十六夜の月」も、歌詞とメロディの良さで選んだんだと思います。

十六夜の月 / w-inds.

涼平:けっこう戦ってましたね、その頃は。

慶太:そうだね。w-inds.を作って、プロデュースしていた方々と、意見をぶつけ合って。仲が悪かったんじゃなくて、プロ同士、「いいモノを作りたい」という気持ちでやっていたので。

ーーBIGBANGのG-DRAGONをラップでフィーチャーした「Rain Is Fallin'」もこの時期のトピックだと思います。このコラボレーションは、どういう経緯で実現したんですか?

慶太:コラボレーションという手法が海外では当たり前になっていて、自分たちもやりたいと思ってたんです。でも、なかなか実現が難しく、海外のアーティストとだったらできるかもと思いついて。韓国のイベントに呼んでもらったときに、タクシーの運転手さんに「今いちばんイケてるアーティストは誰ですか?」と聞いたら、BIGBANGのことを教えてくれたんです。その場でMVを見たんですけど、エレクトロ系の曲で、すごくカッコよくて。で、日本に戻って「BIGNBANGというアーティストとコラボしたいです」とスタッフに話して。

涼平:まだBIGBANGが日本でデビューする前ですね。

ーーメンバー発信のアイデアだったんですね。

慶太:完全にそうですね。結局、G-DRAGONが参加してくれたんですけど、「Rain Is Fallin'」のラップを聞いたときビックリしましたね。すごすぎて「何だ、この人は」って。

涼平:「上手っ!」って思いました。

Rain Is Fallin' / w-inds.

ーーBIGBANGとはステージでも共演しましたね。

慶太:そうなんですよ。レコード大賞やMTVのイベントも一緒に出て。BIGBANGのライブにも出ました。いいアーティストとコラボできるのは、すごく刺激になりますからね。お互いに持ってないものをぶつけ合えるし、当時からどんどんやりたいと思ってました。

ーーNe-Yoが提供した「Truth〜最後の真実〜」も話題を集めましたね。

慶太:すごいですよね、ホントに。

涼平:Ne-Yo、最近はTikTokでも人気なんですよ。

Truth ~最後の真実~(HD) / w-inds.

ーー海外との接点でいうと、w-inds.は2007年から香港、台湾、中国などでも積極的にライブを開催。当初からアジア全域を視野に入れていたんですか?

慶太:デビューした頃はぜんぜんイメージしてなかったですね。意識し始めたのは、アジアの音楽祭に呼ばれるようになってからかな。

涼平:そうだね。

慶太:最初の頃は「J-POPのほうがカッコいいな」と思っていたし、アジアの音楽シーンは日本の5年前、10年前みたいな印象だったんですよ。でも、どんどんレベルが上がってきて、いまや追い抜かれつつあって。「世界を意識して、いろんな国でライブができる環境を整えないと置いていかれる」という危機感もありましたね。

橘慶太のセルフプロデュースに移行後、楽曲がより身近に

w-inds.(写真=はぎひさこ)

ーー2010年のシングル『Addicted to love』のカップリング曲「Now You're Gone」は、慶太さんが初めて制作に参加した曲。作曲に関わりたいという気持ちが出てきたのも、この頃ですか?

慶太:そうですね。海外の作家のライティング・キャンプに呼んでもらったんですよ。「勉強がてら行ってみたら?」という感じだったんですけど、2、3曲作ったのかな。最初は控えめだったんですけど、「ここをこうしたい」って言うと、「いいね」って快く受け入れてくれて。そのときからですね、曲作りに興味を持ったのは。

ーー2011年のシングル『Be As One/Let's get it on』に収録された「Noise」もいい曲ですよね。

慶太:それも「Now You're Gone」と同じときに作ったんですよ。

涼平:「Nosie」めっちゃいいよね。またライブでやりたいです。

ーー「New World」もターニングポイントになった楽曲じゃないですか?

慶太:自分たちの分岐点になった曲だと思っているし、大切な曲ですね。デビューのときから関わってくれていたプロデューサのもとを離れて、外のプロデューサーと仕事をするようになって。それまで見えなかった世界を感じることができたし、音楽に対する価値観、考え方が変わったんですよね。「New World」はTINYVOICE PRODUCTIONの今井了介さんにお願いしたんですが、当時、世界で流行り始めていたEDMを取り入れてもらって。曲がどう作られているかについても、本格的に知れたのも良かったです。

New World (HD) / w-inds.

涼平:活動の環境が大きく変わったんですよね。すべてが新鮮だったし、慶太くんが言ったように、楽曲制作のこともわかるようになってきて。

ーーこの時期から海外のダンスミュージックとのリンク率も上がって。

慶太:そうですね。海外作家の曲は早くから取り入れていましたが、より柔軟になっていった感じですね。

ーーそして2017年の「We Don't Need To Talk Anymore」からは慶太さんのセルフプロデュースに移行。その前から「自分で曲を作りたい」という話はしてたんですか?

We Don't Need To Talk Anymore(MUSIC VIDEO Full ver.+15s SPOT) / w-inds.

慶太:いや、まったく。曲は作っていたんですけど、「将来的にそういうこと(クリエイターとしての活動)が出来たらいいな」くらいだったので。「We Don't〜」のタイミングでも、最初は海外の作家に発注したんです、じつは。ファンク系が落ち着いてきて、フューチャーベース、チルなダンス系がいいなと思ってたから、そういう発注をしたんですけど、全然違う感じの曲ばかり送られてきて。そのときに「日本のアーティストだからって、なめてるな」というワケのわからないモードに入ってしまって。

涼平:ハハハハ(笑)。

慶太:「これだったら、自分の曲の方がいいと思います」って聴いてもらったのが、「We Don't〜」のデモだったんですよ。みんなも「すごくいい」と言ってくれて、シングルとしてリリースすることになって。それがセルフプロデュースのスタートですね。「絶対に自分で作ってやる!」と思っていたわけではなかったし、「できればw-inds.の曲は作りたくない」という気持ちもあったので。

ーーえ、どうしてですか?

慶太:自分の色を入れないほうがいいというか、私物化みたいになるのがイヤで。w-inds.は客観的にみんなでプロデュースするスタイルで活動してきたので。と言いつつ、いつの間にか自分でやるようになっていますが。

ーー慶太さんが曲を作るようになったのは、すごく必然的だったと思います。涼平さんは慶太さんがw-inds.の曲を作るようになったことに対して、どう感じてますか?

涼平:楽曲が身近になりましたね。作詞家の方、作曲家の方とお会いする機会があまりなかったので、知らないところで出来た曲をいただいて、それを歌うという感じだったんですけど、慶太くんが作ることで、曲がグッと近くなって。「w-inds.から生まれた曲」という実感があるし、最近は第三者が全然いなくて、メンバーだけでレコーディングしてるんですよ。

慶太:2人でやってるよね(笑)。

涼平:いいよね、慶太くんの家に遊びに行ってる感覚で(笑)。レコーディングも楽しいし。

慶太:調子いいよね。

涼平:うん。よく笑ってます(笑)。

慶太:そういう時代だと思うんですよ、今は。トラヴィス・スコットも「家で作って、家で録って、全部作り上げるのがいちばんいい」って言ってたし。

涼平:自分たちで録って、それが良ければ、すぐ発信することもできますからね。すごい世の中になりました。

ーー機材の進化や配信プラットフォームの充実もあるけれど、何よりも2人が時代の進化にアジャストしていることが大きいのでは?

慶太:適応しないといけないという危機感もありましたからね。早めに準備しておいてよかったです。

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