三石琴乃、福圓美里、金元寿子……声優たちの熱演から紐解く『美少女戦士セーラームーンEternal』の世界
武内直子原作のアニメ『美少女戦士セーラームーン』シリーズの新作『劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」キャラクターソング集 Eternal Collection』前編・後編が絶賛上映中だ。
『美少女戦士セーラームーン』は1992年から少女漫画雑誌『なかよし』(講談社)で連載されていた作品で、単行本は全世界でシリーズ累計発行部数3000万部を突破。5年に渡って放送されたTVアニメは最高視聴率16.3%(関東エリア)を記録する人気作となり、今なお国内外のファンから熱い支持を受けている。
満を持して2014年にスタートしたTVアニメ『美少女戦士セーラームーンCrystal』では、主人公・月野うさぎ(セーラームーン)の声を担当する三石琴乃以外の声優陣を一新。相違点も一部あるが、子ども向けに原作をコミカルにアレンジした90年代のTVアニメ版よりもシリアスな展開が目立つストーリーで、子どものみならずコアな原作ファン層をも取り込んだ。そして『Crystal』と同じ声優陣で臨んだ今回の劇場版では、原作第4期にあたる「デッド・ムーン編」を基に、ちびうさ(セーラーちびムーン )とエリオス(ペガサス)の淡い初恋や、新たな敵であるデッド・ムーンの女王・ネヘレニアとセーラー戦士たちの戦いを描く。
1月13日に公開された国内映画ランキングでは、前編が初登場9位を獲得。後編は映画レビューサイトFilmarksの「2月第2週公開映画の初日満足度ランキング」で7位に上り出るなど、25年ぶりの劇場版は軒並み好評価を得ている。これほどまでに数十年に渡って愛されている作品は類を見ない。そんな『美少女戦士セーラームーン』のTVアニメシリーズをこれまで牽引してきたのが、言わずもがな月野うさぎを演じ続けきた三石だ。
1989年にOVA『エースをねらえ!ファイナルステージ』でデビューしてから、『ドラえもん』(テレビ朝日系)のび太のママ(野比玉子)役、『呪術廻戦』(MBS・TBS系列)冥冥役をはじめ、現在も第一線で活躍している三石。その魅力は何といっても、可愛らしく愛嬌のある声の奥に感じる意志の強さ。ちょっとドジで泣き虫だけど、天真爛漫な性格で友達もたくさん。そんな少女漫画に出てくるヒロインの要素をこれでもかというほど併せ持ったうさぎだが、幼い子どもたちを夢中にさせたのは彼女が男の子に守られるだけのか弱い存在ではなく、“愛と正義”のために闘う戦士だったから。いつも仲間であるセーラー戦士たちを、そして時には地場衛(タキシード仮面)をーー愛する人のためなら危険をかえりみず自ら闘いの最前線に立つ。だからこそ、うさぎは女の子憧れのヒロインになり得たのだろう。
三石が演じるうさぎはたとえ闘っていない時でも、何気ない日常の会話の中に「どんな敵が現れても彼女がきっと世界を救ってくれる」という安心感がある。さらに、まもちゃんこと衛とのやりとりや、彼を思う場面ではうさぎが大人の女性に見える時も……。三石は代表作である『新世紀エヴァンゲリオン』の葛城ミサトや、『少女革命ウテナ』の有栖川樹璃を演じる時も、多面的なキャラクター像を作り出しているのだ。