花譜、カンザキイオリら擁する<KAMITSUBAKI STUDIO>が創生する音楽×物語 統括Pに聞く、2030年見据えたエンタメの考え方

花譜、カンザキイオリら擁する<KAMITSUBAKI STUDIO>が創生する音楽×物語 統括Pに聞く、2030年見据えたエンタメの考え方

(花譜とカンザキイオリは)「お互いに足りないものを補い合っている」

ーー先ほどのバーチャルアーティストのドキュメンタリー性にも繋がりますが、花譜さんがデビューしてから2年経ち、ライブなどを経て彼女が成長したと感じる部分はありますか?

PIEDPIPER:単純に、歌声の力や表現力が格段に上がっていると思います。彼女は曲を作っているわけではないので、現状では歌や声の表現がすべてになるわけなんですけど、そこの魅力度がぐんと高まっています。あと、文章やトークのセンスがもともと彼女には備わっているのですが、そこがサポートせずともどんどん出てきている印象もあります。実はクリエイティブの才能も徐々に花開いていると感じていて。たまに彼女から詞や文章が送られてくるのですが、それを読むと成長しているなと思いますし、そこは今後すごく楽しみなところです。

ーー昨年発売された花譜さんのアルバム『魔法』を聴いて思ったのですが、カンザキイオリさんとのタッグもより強化されていると思いました。

PIEDPIPER:二人は会った時から運命的なものがあったというか、抜群に相性が良かったんですけど、そこから生まれるシナジー、二人の絆はこの2年でさらに強くなっていますね。外から見ていると、本当に年の少し離れた兄妹みたいな感じなんですよ。家族的という言い方が合っているかはわかりませんが、お互いに足りないものを補い合っている感じはしますし、そこが音楽にも良い影響を与えていると思います。

ーーそして花譜さんに続く存在として注目されているが、「食虫植物」でブレイクした理芽さんです。

PIEDPIPER:理芽も花譜と一緒で偶然出会った才能なんですけど、彼女も2021年により押し出していきたいアーティストではあります。TikTokでのバズは狙って当てられるものではないのですが、既存のファンとは違うところに彼女が刺さったことは、KAMITSUBAKI STUDIO全体の可能性を広げてくれました。次にどう繋げていくのか、同じことを再現できるのかは研究している最中ではありますが、自分たちが届けたいお客さんが可視化されたことはすごく意味深いと思っています。

ーー一方で、フィジカルアーティストでは男女ユニット・DUSTCELLも着実にファンを増やしつつあります。ヨルシカやYOASOBIに続いていくような存在になりそうです。

PIEDPIPER:DUSTCELLは自分が直接担当はしていないのですが、だからこそ良い状況にあることが本当に嬉しいです。花譜の延長線上にいるファンではなく、しっかりと彼ら自身のファン層を築いている。僕がやっているラインでヒットが出るだけでは組織として弱いと思っていたのですが、バーチャルアーティスト以外でのヒットは、KAMITSUBAKI STUDIOとしての希望にもなっています。

ーーこれからもアーティストの数は増えていくと思いますが、KAMITSUBAKI STUDIOの面白さは、個々のアーティストがひとつの共同体のように繋がっていることだと思います。

PIEDPIPER:僕個人としてはスタンドアローンのプロジェクトをたくさん立ち上げていくことは、あまり考えていないんです。アーティストにせよ、IPにせよ、プロジェクトが地続きになっていることはものすごく重要だと思っています。もちろん、アーティストにもそれぞれやりたいことはあるので、すべてをひとつの世界観に集約することできないとは理解しつつ、自分がプロデュースするプロジェクトに関しては、シームレスにつながれることを意識してやっています。そこが比較的やりやすいのがバーチャルアーティストならではの特徴のひとつでもあって、それぞれの世界観の融合は大事にしていきたいです。

ーーアーティスト同士の関係性の中で物語も生まれるでしょうし、各アーティスト同士のコラボレーションにも期待できます。それに加えて、ゲームなどにも派生しているメディアミックス的な動きは可能性をぐっと広げると思います。

PIEDPIPER:きっと、僕がクリエイティブの側面から音楽や映像、イラストレーションなどと関わってきたからこそできることなのかなと。純粋な音楽業界の人間だったら、こういうプロジェクトはできていなかったと思うので。

未来を担う若い世代に向けて発展性のあるコミュニティを作りたい

ーーあと、これまでのPIEDPIPERさんがSNSなどで発信してきた言葉や文章を見ると、既存の枠にはとらわれたくないという意思を感じます。

PIEDPIPER:カウンターというか、反骨精神でずっとやってきているからかもしれません(笑)。僕は、自分のことをプロフェッショナルだと言い切って物事に取り組みたくはないんです。それであれば、「柔軟性のある素人」として何かを追求していきたい思っていて。もちろん、ひとつのことをプロとして研ぎ澄ましている人はすごく尊敬していますし、プロはどこまでいってもプロでいてほしい。だからこそ、手広く展開する自分のことをあまりプロとは言いたくないんです。

ーーいろんな可能性を常に探求しているとも言えますね。

PIEDPIPER:どうしても慣れてくると視点が固定されてしまうと思っていて。僕の視点が固定されると、周りのスタッフもその角度から物事を考えるようになってしまう。そういうのがあまり好きではないんです。なぜなら、今正しいと思っていることも、数年後には変わってしまうから。であれば、客観的に物事を捉えて、変化にあわせて軸をずらしたり、細かく調整していく必要があるんです。ただ、そういう風に思っていても視点が固まる時はあるので、とにかくずっと考え続けていきたいとは思っています。

ーーそんなPIEDPIPERさんが思い描く、KAMITSUBAKI STUDIOとしての2021年の展望を教えてください。

PIEDPIPER:直近の話で言えば、アーティストやクリエイターのファンもそれぞれ増えてきているので、そのファンを大事にしつつ、もう少しコミュニティで楽しめるものを提供していきたいなと思っています。僕らの作品を好きな方々は、いわゆるリアルが充実していて、友達がめちゃくちゃ多いみたいなタイプではないと思うんです。だからこそ、僕たちのコンテンツを通して友達ができるとか、支え合えるような関係性を作ってくれたら一番嬉しいです。音楽を通してだけではなく、「神椿市建設中。」のようなオンライン・オフライン含めて参加できる体験というものを増やしていきたい。そこは僕らが勝手に進んでいくというよりも、ユーザーと一緒に作り上げていく作品やプロジェクトを推進していければと考えています。

ーークリエイティブを作る上での原動力ってどんなものがありますか?

PIEDPIPER:僕たちのコンテンツを好きでいてくれる子は10代がメインなんですけど、その子達が20代中盤~後半になったとき、僕らの作ったコミュニティやアーティストのファンの中から、次の時代を担えるような若い才能が出てきたら本望だなと思います。僕は2030年にどうあるべきかをずっと考えているんですけど、そういう発展性のあるコミュニティを将来的に作れさえすれば、少し早いですけど僕自身は引退していても全然良いと思っていて(笑)。

ーー「2030年問題」というのもありますし。

PIEDPIPER:人口減少や経済成長の鈍化など言われていますが、2030年は今よりも大変な時代になっていると思っていて。そこを立て直す力は個人や企業の若いクリエイティビティだと思っているんです。いろんな角度のクリエイティビティがある中で、アートとビジネスと融合したものも絶対にあるはずだから、そういうものを生み出せる人が僕たちのプロジェクトに触れた人の中から出てきたら、本当の意味でKAMITSUBAKI STUDIOをやれて良かったと思えるかなと。

ーー今まさに花譜さんや理芽さんというアーティストのクリエイティブに触れて、自分もああいうものを作りたいと思う若い世代の方々もいると思います。

PIEDPIPER:僕らは、未来を担う若い世代の一番純粋で多感な時期にコンテンツを届けているわけで。そのコンテンツの中に嘘は入れたくないですし、誠意のあるメッセージをなるべく届けたいと思っているんですね。僕自身、10年、20年前はこういう考え方に抵抗感を持っていたんですけど、今は本気でそういう気持ちでモノ作りに携わっているんです。それに、ファンの方々が本当にピュアなんですよね。10代の子達から僕らの作ったものに対する想いがメールでも届くんですけど、本気で向き合ってくれていることが伝わるんです。その気持ちに何か返すためのプロジェクトができないかと真剣に考えてますし、2030年に向けたプロジェクトも立ち上げていきたいなと思っているんです。

ーーもちろん、会社を運営する上でビジネスの要素は大事ではあるけれども、その根底にあるのは次世代を担う方々への強い思いであったり、ファンの方々への誠実な気持ちということですね。

PIEDPIPER:そうですね。正直、僕はもともと前に出るタイプの人間ではないんです。それこそインフルエンサーみたいな表立った動きはできないし、顔出しもしていないので少し怪しいと思われがちな部分もあると思うんですけど、僕らのコンテンツを好きになってくれる人には、ちゃんと何かをお返ししたいと思い続けながら今後もクリエイティブやビジネスやアーティストに向き合っていきたいですね。その為に出来る事を考え続けています。

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