キュートなフレーズ光るBBY NABE「PINK SWEET」バイラル上位に トラックと語感とフロウによる“新しい日本語の響き”

参照:https://spotifycharts.com/viral/jp/weekly/latest

 Spotifyの「バイラルトップ50(日本)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top 50チャート」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたプレイリスト。同チャートを1週間分集計した数値の今週分(1月7日公開:12月31日~1月6日集計分)のTOP10は以下の通り。

1位:SugLawd Familiar, OHZKEY, Vanity.K「Longiness」
2位:Ado「うっせぇわ」
3位:BBY NABE「PINK SWEET」
4位:優里「ドライフラワー」
5位:Children Of Bodom「Needled 24/7」
6位:川崎鷹也「魔法の絨毯」
7位:宮城喜代子、二世 青木鈴慕「春の海」
8位:うみろ「臨海ダイバー」
9位:Eve「廻廻奇譚」
10位:二代目 米川敏子「春の海」

 今回は3位にランクインしているBBY NABE「PINK SWEET」を取り上げたい。

BBY NABE「PINK SWEET」

 〈初めてチューした日(チュ チュ チュ)〉というリリックが、一発で記憶に残るポップチューン。英語と日本語を軽快に使い分けるラップは、どのバースをとっても実にキャッチー。バースは短めでフロウも滑らか。2分14秒という曲の尺もいい。曲の尺が一時期に比べ短くなっているのは、デジタルリリースがメインになってきたこの数年の傾向であるが、2020年のコロナ禍で、そこが一気に加速した感がある。これまでCD盤をリリースしていたアーティストが、デジタルリリースを先行するようになり、3分台の曲作りを意識するようになってきた。しかしながら、2分14秒という尺は実に大胆で、痛快ですらある。ある意味、どこを切り取ってもサビ。無駄がまったくないとも言える。どこから聴いても空気感が似ている金太郎飴のような構成だが、ところどころにフックもあり、ハイクオリティな1曲に仕上がっている。

 「PINK SWEET」がリリースされたのは2019年。冒頭でピックアップしたリリックが注目を集め、同曲がTikTokの“踊ってみた”でバズり始めたのは、2020年秋以降である。最初はティンネイジャーの女性やカップル動画が中心だったが、次第に幅広い層を巻き込み、様々なパターンで広がりを見せた。2020年12月中旬にはTikTokの投稿動画が1000を超え、今でも増え続けている。以降はバイラルチャートでも上位にランクインし、2021年に入ってついに3位にまで食い込んで来た。

BBY NABE - PINK SWEET (Official Lyric Video)

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