Big Hit Labels、初の合同コンサートで示された現在地 アーティストの魅力とITテクノロジーの共存で見せたステージ

 Big Hitが上場した時に「競合相手」として名前を挙げたのは芸能事務所ではなくKakaoやNaverといったIT系の企業だったというが、その通りに多角的なテクノロジーを提供する企業を目指すという方向性が窺えるライブだと感じた。各グループごとのM&G(MEET & GREET)などイベントコーナーも設けられていたが、これは分割画面上でライブと同時進行で見られるようになっていた。AIやホログラムで「故人を蘇らせる」ライブは2012年『Coachella』での2Pac、2014年の『Billboard Music Awards 2014』でのマイケル・ジャクソンのステージ、日本では2019年の『NHK紅白歌合戦』でのAI美空ひばりなど、賛否両論ありながら試みられているテクノロジーのひとつだが、AIを使った既存アーティストのホログラムライブ自体は、すでに何年も前からSM ENTERTAINMENTやYG ENTERTAINMENTがCOEXやKliveといった常設会場で行って来ているものだ。Big Hitのアーティスト自体はまだホログラムライブを披露したことはないが、2020年末の『2020 MAMA』のステージでは肩の療養中のSUGAをホログラムで登場させたり、BTSのコンサート会場ではAR技術でメンバーと写真を撮ることができるブースも登場するなど、「アイドルとの仮想現実」という近年の流れを感じる動きはあった。過去にはキム・ジェジュンのように入隊中にホログラムコンサートを行ったアーティストの例もあることを考えると、「CONNECT Stage With Sin Haechul」は、この先の会社としての展開を色々と伺わせる試みと要素が詰まっていたステージと言って良いのではないだろうか。

 アーティストの魅力をそのまま見せたライブパフォーマンス部分と、AR・VR/XR技術やドローンによる花火空撮のフィナーレまでITテクノロジーを披露して見せた部分が共存するところが今の「Big Hitらしさ」なのかもしれないと感じたレーベルコンサートだった。

■DJ泡沫
ただの音楽好き。リアルDJではない。2014年から韓国の音楽やカルチャー関係の記事を紹介するブログを細々とやっています。
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