円神-エンジン-、デビューステージでみせた“天下を獲る”気概 舞台『nonagon~始まりの音~』レポ

円神-エンジン-、デビューステージでみせた“天下を獲る”気概 舞台『nonagon~始まりの音~』レポ

 2019年12月11日は、『PRODUCE 101 JAPAN』のデビュー評価が行われた日だった。煌びやかな幕張メッセの設営にオーディエンスで埋め尽くされたフロア、ステージに立つ練習生。そこに円神-エンジン-メンバーの姿は、たったひとつもなかった。

 11人に選ばれないどころか、最終選考にだって進めない、なんなら第1回発表で脱落してしまった人もいる。あれから約1年、彼らは東京国際フォーラムのステージに立っていた。歌って踊って演技をして漫才をして……。その姿は、もはや“選ばれなかった9人”ではない、“自分の意志で円神という道を選んだ9人”である。円神のデビューステージ『nonagon~始まりの音~』は〈ここから上がるだけ 天下を獲りに行くんだ〉という気概に溢れていた。

 2030年を舞台にしたストーリーは、あまりにもサラサラと進んでいった。いくら主人公のオッケー(宮里ソル)が寛容な性格といえど、「こんなに起伏がなくていいのか」と不安になるほどに。

 しかし、ラストで待っていたのは、大どんでん返しである。「世界平和のために8人で円陣を組まなければいけない」というのは仮の話で、真実はオッケーを目覚めさせるために何百回も同じメンバーでゲームをプレイしていたのだ。物分かりがよすぎるオッケー以外の8人の意味深なセリフの数々も、その事実を知るとすべてが一本の線のように繋がっていった。

 パク(山田恭)との戦闘でケガを負わずピンピンしていたことやビビ(A.rik)のシーンで魔法のように早着替えしていたことを考えると、仮想空間であることまでは多くの人が想定できたかもしれない。一方で「オッケーを救うために8人が頑張っていたこと」は、どれだけの人が初見で見抜けただろうか。『nonagon~始まりの音~』は、分断された世界を救うひとりの少年の話ではない。分断された世界のなかで、仲間によって救われるひとりの少年の話なのだ。

 脚本・演出のマンボウやしろが、この舞台を通して伝えたかったのは以下の3点なのではないかと推測する。ひとつ目は、「ONE for ALL. ALL for ONE」の精神だ。ひとりがみんなのために、みんながひとりのために困難を超えていく様は“これからの円神”に通ずるマインドだ。正直にいって、彼ら9人はまだまだ未熟である。しかし、だからこそ一緒にいる意味がある9人でもある。“ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために”。そうやって一歩一歩進んでいくのだと、これからの道しるべを示したかったのではないだろうか。

 2つ目は「心で繋がることの大切さ」だ。この作品のクライマックスは「9人で円陣を組むところ」だが、ストーリー上は仮想空間であるため物理的に円陣は組んでいない。意識だけを飛ばしたゲームの世界で、肩を組んでいる状態になる。これは、物理的に会うのが厳しい今の時代でも、心だけは繋がっていようというメッセージのようにも感じられる。

 そして3つ目は、「諦めなければ願いは叶う」ということ。DW(瀧澤翼)は約2年間、ずっとオッケーとコンタクトを取り続けた。オッケーに回復の兆しが見えなくても、毎回すべてを忘れて最初からになっても、決して諦めようとしなかった。その結果が、いつもと違うストーリーを生み、オッケーを目覚めさせたのである。オッケーは全ての人が持つ夢そのものであり、才能そのもの。困難多き時代でも、諦めないことが未来を開いていくのだと、何度最初からになっても新しく始めればいいのだと伝えたかったのではないだろうか。

 多くの気づきを与えるストーリーが素晴らしいことはもちろん、円神自身も極めて奮闘していた。ほとんどのメンバーが演技未経験であり、ダンスや歌に苦手意識を持つ者もいる。ましてや、かつて“選ばれなかった9人”だ。しかし彼らは、苦手意識も劣等感もすべて受け入れて、下馬評を覆しに来たのである。

 事実、メジャーデビュー曲「ENJIN」を含む、10曲以上の新曲披露は大きなインパクトを与えた。もちろん全部の曲を全員で踊っているわけではないが、あれだけ様々なジャンルの曲を歌いわけ踊りわけするのは、並大抵の努力でできることではない。大人数では揃えなければいけない難しさがあるし、少人数では一人一人が魅せれる強さを持っていないとなりたたない。それでもなお、彼らは不安に飲みこまれぬだけではなく、それぞれの強さもブラッシュアップしてきていた。中本大賀が伸びやかな高音で魅了したかと思えば、中林登生はクールなラップを披露、中谷日向は妖艶な笑みと共にダンスでオーディエンスを惹きつける。

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