ISSA、SKY-HI、倖田來未らが『Paradox Live』にもたらした化学反応 各チームカラー打ち出す“Exhibition Show”を聴き解く

『Paradox Live Exhibition Show -cozmez-』

 ダウナー系双子ユニットのcozmezのエキシビジョン曲「Good Time」に参加したのが、スキルフルなラップとボーダーレスな感性で幅広く活動を展開するラッパー・SKY-HI。矢戸乃上珂波汰(CV:小林裕介)と那由汰(CV:豊永利行)兄弟の、メロディアスにもタイトにも柔軟に変化するラップに刺激を受けたのか、SKY-HIも得意の高速ラップでギアをトップに入れたかと思いきや、そこからテンポを落として遊びの利いたリリックとフロウで流石の実力を見せつける。いつもは危うい部分さえ感じさせるcozmezのハングリーさも、ここではポジティブな上昇志向の意味合いが強くなっており、SKY-HIと一緒に音楽を自由に楽しんでいるような心地良さがある。むしろ3人の相性が抜群すぎて、まるで元々この3人でユニットだったかのような自然ささえあるのが驚きだ。なお、本楽曲のトラックを手がけたSHIMI(BUZZER BEATS)は、SKY-HIとはSOURCEKEY名義で一緒にトラックメイカーとして活動している間柄。だからこそ、ここまでスムースな化学反応が起こったのかも知れない。

【MV】cozmez / 「Good Time(feat. SKY-HI)」 Paradox Live
『Paradox Live Exhibition Show -悪漢奴等-』

 そして今年デビュー20周年を迎えた倖田來未がフィーチャリング参加した楽曲が、悪漢奴等の「EMPEROR - WE ON FIRE!! -」。低音のがっつり効いたレゲトン系のビートに合わせ、アグレッシブにラップを交わしていく悪漢奴等の血気盛んなマイク捌きもかっこいいが、やはりすごいのは倖田來未の存在感。色香というよりも妖艶さの漂う声で“全てを焼き尽くせ”と歌う彼女の存在感はまさに「女帝」といった趣きで、その姉御に付き従う5人の舎弟=悪漢奴等という構図が浮かんでくるような組み合わせだ。後半の倖田がソロで歌うパートで、各フレーズごとに悪漢奴等のメンバーが追っかけで歌うところは、特にその関係性を想像できる箇所だろう。

【MV】悪漢奴等 / 「EMPEROR - WE ON FIRE!! -(feat. 倖田來未)」 Paradox Live

 「キャラクターとリアルアーティストによるコラボ」が実現した今回の4曲に共通しているのは、『Paradox Live』の世界観と各参加アーティストの持ち味がちゃんとハモったうえで、誰もが楽しめるラップミュージックに昇華されていること。それはMICRO、SIMON、GASHIMA、WAYZの心之助とMt'ら実際に日本のヒップホップシーンで活躍しているラッパーたちがリリックを手がけ、サウンド面でもグローバルな音楽性を追求していることが大きいのだと思う。その意味では、これらのコラボ曲は『Paradox Live』の世界に入門する入り口として最適だろうし、キャラクターコンテンツのファンがヒップホップに興味を持つきっかけ、あるいはその逆としても機能するのではないだろうか。ぜひ一度、耳を傾けてほしい。

■流星さとる
流浪の人。アニメ・声優・アニソン関連のライター仕事、よろず承ります。お問い合わせは【ryuseisatoru@gmail.com】までどうぞ。

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