BTS SUGAが変えていく“アイドルラッパー”の概念 今こそ必要とされる人々を鼓舞する歌声

 そして今回のグラミー賞ノミネート。アイドルラッパーの概念は、きっと大きく変わっていくに違いない。実際、SUGAはアイドルとしてもたまらなく魅力的だ。愛嬌全開なアイドルに対して、SUGAはいわゆる「ツンデレ」だ。メンバーに水を渡すときも、そっぽを向く。聞けば、そのさりげない気遣いは「お父さんがそうしていてカッコよかったから」という理由でなんとも可愛らしいのだ。

 また、以前Vが長いメッセージをSUGAからもらったと話していたことがあった。最後の1文には「愛してる」の言葉もあり、Vは涙を堪えきれなかったという。そんな暴露をされ「やめろー」と絶叫するSUGA。クールな素振りの中にある確かな愛情を知っているメンバーは、もっとSUGAの優しさがバレてしまえばいいと言わんばかりに大盛り上がりだった。

「一度きりの人生 他の誰より 思い切って生きる いい加減に生きるのは誰だってできるから」

 SUGAの創作意欲はまだまだ尽きることはないはずだ。彼が音楽を始めた理由は「辛い思いをしている人の支えになってあげたかったから」。残念ながら、この世界は辛いことだらけで、全員が幸せになる日はなかなか来ない。2020年は特にそんなことを痛感する年だった。だからこそ、彼は最新アルバム『BE (Deluxe Edition)』に願いを込める。今は会えないけれど一緒に「Fly To My Room」しようと。遠くにいても、「Telepathy」で心は一緒であるはずだ、と。

 どうか早く7人が集まってパフォーマンスできる日が、そしてARMYとの再会を喜べる日がやってくることを待ちわびている。痛みの多いこんな世界だから、SUGAの人々を鼓舞する歌声が必要なのだ。

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