神宿、“アイドルらしさ”と“自分らしさ”の模索で出した一つの答え 縦横無尽なスタイル見せたツアー最終公演レポ

 7月3日、神宿は春に予定していた『神宿全国ツアー2019-2020 “GRATEFUL TO YOU”』の振替公演をKT Zepp Yokohamaにて開催。グループにとって約4カ月ぶりの有観客ライブとなり、以降も神宿は新型コロナウイルス感染対策をしっかり取りながら積極的にライブを行ってきた。8月には『神宿 JAPAN TOUR 2020』、9月には『神宿 HALL TOUR 2020』をそれぞれ有料配信と並列する形で行い、ともに成功を収めている。

神宿

 そして、ニューアルバム『THE LIFE OF IDOL』のリリースに伴い10から11月にかけて行われた『KAMIYADO Autumn tour 2020 また君に会える』では、全国11会場で熱いライブを繰り広げ、ツアーファイナルの11月15日、EX THEATER ROPPONGI公演ではソールドアウトを記録。ツアーで得た充実感が大いに反映された、ポジティブさに満ちた2時間を提供してくれた。

 大きなスクリーン以外にはこれといったセットが用意されていない、いたってシンプルなステージで繰り広げられた神宿のライブは、“良い曲”を歌とダンスのみで表現するというごく当たり前のことに注力した、ある意味ではアイドルライブの基本中の基本を表したものと言える。観客がコールや声援を送れなかったり、一緒に歌えなかったりするという状況下でこういった姿勢のライブが行うことは、ある意味リスキーかもしれない。しかし、こんな時期だからこそ実力ある者がその本領を発揮する、絶妙なタイミングと受け取ることもできる。

 そういった点においてこの日の神宿のパフォーマンスは、夏以降に有観客/無観客問わず数々のライブを経験してきたことが自信につながったのか、非常に見応えのあるものだった。『THE LIFE OF IDOL』で見せたスタイリッシュな神宿と、それ以前のアイドル然とした神宿の姿が混在するという点においては過渡期のようにも映るが、あえて固定した型にこだわらず、さまざまな楽曲スタイルに挑戦し続けるのもまたアイドルの存在意義と言えるのではないだろうか。そういった意味では、オープニングの「在ルモノシラズ」で現在進行形の姿を見せつつ、続く「HAPPY PARTY NIGHT」や「Life is やっぱBeautiful!」で笑顔を振りまきながら見せるキュートなパフォーマンスを立て続けに楽しめるのも、神宿というアイドルの真骨頂なのかもしれない。

 観客が声を出せないぶん、メンバーが曲中コール部分を自ら歌ったりすることで、自然とライブの熱量も高まっていき、さらにメンバーの息のあったダンスに合わせて観客が踊ることで、会場の一体感もより強まっていく。また、次々変わるダンスフォーメーションの緻密さが顕著な最近の楽曲や、勢いと熱量で押すライブアイドルならではの“アゲ曲”がバランスよく散りばめられたセットリストに加え、メンバーの歌唱力の安定感も相まって、客席側の集中力が途切れることも一切ない。むしろこの日は、彼女たちの歌の力に惹きつけられることが多かったように感じる。

 その傾向が顕著だったのが、一ノ瀬みか、塩見きら、小山ひなによるユニット曲「Erasor」だろう。この曲での3人はダンスすることなく、歌うこと、歌詞を届けることに注力し続けている。歌に定評のある一ノ瀬や小山のみならず、塩見もその存在感を強くアピールすることで、曲中のセリフパートがより際立つ結果に。今回のライブにおけるハイライトのひとつといっても過言ではない。

 そんなシリアスなパートがあるからこそ、羽島みき&めい姉妹による「SISTERS」の緩やかさ、微笑ましさがより際立つことも付け加えておきたい。この日のライブでも華麗なダンスで目を引いたみきと、MCや曲中の煽りでライブを牽引し続けためいの役割も、神宿にはなくてはならないもの。5人それぞれが独自のスタイルで“自分らしさ”や“神宿らしさ”を見つけ始めた今、彼女たちのライブ力はこの先どんどん成長していくのではないか……この日のライブ中、1人ひとりの魅力に目を惹かれるたびに、そんなことを考えていた。

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