Creepy Nuts DJ松永が語る、“不安定な自分”との向き合い方 ターンテーブルと出会った気持ちが全ての根底に

今後の目標は“何でDJをやっているのかを忘れない”こと

ーーあと、松永さんのトーク力のルーツはどういうところにあると思いますか。

松永:トーク力については俺はマジでないと思っていて(笑)。トーク力は完全にR-指定の方があると思ってます。今でこそバラエティの仕事をいただく機会が増えましたけど、毎回、余計に音楽しかできないなって思っちゃいます。バラエティも一から積み上げてきた人たちがめちゃめちゃ勝ち抜いて出ているわけじゃないですか。自分は別に喋りで積み上げてきてないわけですよ。DMCに勝ってなかったら、この場には絶対いられないですから。そういう他での実績を買われて、たまたまそこでスポットライトが当たって、別の業界の人が見てくれて「なんかちょっとおもしろいから、入れてみよう」という部分があると思うので。そもそも太刀打ちできないんですよ。そこで一からやってる人たちに。

 だから、ちょっとでも勉強というか糧になればな、というのと、自分を必要としてくれている方というのはめちゃめちゃ貴重だと思うので、そういう人たちからお声がかかるのであれば、なるべく頑張りたいという気持ちです。あと、感情のしゃべりしかできないんですよね。自分がその場で感じたことを反射的にしゃべることしかできない。例えば、R-指定は第三者視点の語りで、エピソードトークができるんですよ。だから過去に起こった出来事を自分の頭の中で思い浮かべて整理して、起承転結で話せる。僕はそれができなくて、コンプレックスなんですけど。バラエティも種類がいっぱいあるじゃないですか。何本か出させていただくうちに、得意/不得意が見えてきて、できないことがどんどんわかっていってる感じですかね。

ーー何事にもストイックなんですね。

松永:なんなんですかね(笑)。でも、本当にそういう感じです。欲深いからだと思いますよ。

ーーだからこそ、自分自身を高め続けられる。

松永:でも、ずっとしんどい可能性があるっていうことですよね(笑)。

ーーご自身的には大変かと思いますが、これからの活躍も期待しています。最後に、今後の目標についてはどんなことを考えていますか?

松永:僕が落ち込みがちなのは、すぐ人と比較するからなんですよ。比較して「自分のほうがイケてるな」って思わないと自分のこと認めてやれないんですよね。でもそれってすごく不健康な考え方で。一番健康的なのは誰かと比べることなく、自分のことを肯定的に捉えられる人だと思うんですけど、そういうブレやすい、不安定な自分だからこそ、例えば、「どこどこのキャパの会場を埋めた」とか「CDが何枚売れた」とか「こういう仕事が得られた」みたいなものを軸にして、目標に糧にして活動してしまうと、そもそも自分が何をやりたいのか忘れるなと思うんです。

 ターンテーブルを最初に買った時はそこまで思い描いていなかったんですよね。「ただやりたい」以外の感情はなかった。「ただ買ってみて、触れてみたい」。たぶん、他の人たちもそうだと思うんですよ。「ギターを買ってみたい、触ってみたい、演奏してみたい」、とにかくそれに触れたいから。僕も最初に買って、家に届いた時、めっちゃうれしかった。触って、別にうまくできないけど、触ってる瞬間はめちゃくちゃ快感。とにかくワクワクして、すごく幸せだったんですよね。で、触っていくうちに徐々にコツを掴んでいって、自分の上達を実感する時って、またさらに幸せなんですよね。それって、自分の中だけで完結しているんです。誰か目の前に人がいて、称賛を浴びるだとか、誰かと比較してできた、とかじゃなくて。とにかくやってる瞬間、やってる自分に、原始的な幸福感を得られている感じがして。

 今、ありがたい仕事をいっぱいいただいていますけど、なんでここまできたかというと、僕がターンテーブルを触ったからじゃないですか。ただただ向き合ってる、ただ家で「楽しいな、幸せだな」って思って、レコードに手を触れている時があったから、ここまで来れているので、そこを一番大切に、忘れないというのが目標。本当に人生スパンでこれが目標で。すごく月並みな言い方だと「初心を忘れない」とか、そういうことだと思うんですけど。とにかく「何で俺がDJをやっているのかを忘れない」っていうことですね。やりたいから。それを忘れないことが目標かなと。

ーーだからこそ、広げられることもあるかもしれないですよね。

松永:そう。結果的に、そういうピュアな姿勢で向き合えたら、DJも上手くなるんですよね。全てはDMCで勝って、自分の腕を磨いて、その腕が証明されたからこそ。そういうことは裏切らないんだなと身をもって体感しましたね。

ーーどんな環境になっても、そこを忘れずに突き進んでいくと。

松永:本当にそうですね。この先もずっと「ターンテーブルを触っている時間が一番幸せ」というのを忘れないでいたいです。

■番組情報
プラチナイト『「任意同行」願えますか?』(読売テレビ・日本テレビ系)
毎週木曜日よる11:59~0:54放送(55分枠)
【出演者】 MC 劇団ひとり、ファーストサマーウイカ、DJ松永(Creepy Nuts)
【ナレーション】木村昴
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<締切:12月2日(水)>

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