アルバム『ふぁん』インタビュー
ばってん少女隊が語る、アルバムでの成長とエンターテインメントの発信 「自分たちでグループを作っている感覚がある」
「これ、どう歌ったらいいんだろう?」
ーーこのアルバムは過去2枚のアルバムと比較するとBPMがちょっと落ち着いていますよね。それによって、全体的に大人になったなという印象も受けます。
瀬田:「みんな、大人に近づいていっているんだなあ」って、今までのばってん少女隊を知っている方はそう思ったんじゃないかなと思います。
ーーと同時に、5週連続でタイプの異なる楽曲を発表し続けたこともあって、アルバムではさらに新しいジャンルの曲に対しても抵抗なく入っていけました。
上田:私たちも「これ以上、やってないジャンルがあるのかな?」と思っていたんですけど、ありましたね(笑)。
春乃:全然あったね(笑)。
ーーこれだけいろんなタイプの楽曲があると、レコーディングはかなり苦労したんじゃないかと思いますが。
星野:最初は「これ、どう歌ったらいいんだろう?」とか悩む曲もあったんですけど、歌詞を読んで曲を聴きながら自分なりに「こう歌ったらいいんじゃないかな?」と考える時間が楽しくて。やっぱり新しいことに挑戦できているなって実感できるのは、うれしいんですよね。
ーー「OiSa」なんて、まさに今までになかったタイプの楽曲ですものね。
瀬田:これはもう、参考にするものが何もなかったんですよ(笑)。自分たちが触れたことのない音楽だったので、これこそ「どうやって歌えばいいんだろう?」って一番悩みました。歌詞的にはちょっと心の中がモヤモヤしている感じを表現しているので、難しかったです。
上田:以前「おっしょい!」を作ってくださった渡邊忍さんが再び私たちに曲を作ってくださると聞いたときは、「また『おっしょい!』みたいに盛り上がる曲が増えるなあ」と思っていたんですが……衝撃を受けたよね?(笑)
他のメンバー:うん(笑)。
上田:「ずっと〈OiSa OiSa〉って言ってるんだけど……これ、私に歌えるのかなあ?」って思ったんですけど、さくらが言ったとおり参考にするものがないので、自分を信じて歌うしかなくて(笑)。
瀬田:いざレコーディングしたら、意外と自分の思っていた表現で合っていたと思いましたし、それぞれが思う表現が重なって「OiSa」が出来上がったんだなって、完成した音源を聴いて実感しました。
ーーエレクトロサウンドに乗せて歌う皆さんの声も、機械っぽい無機質さが表現されていて、曲にぴったりだと思いましたよ。
上田:忍さんが直接「こういうふうに歌ってみて」とアドバイスしてくださったので、忍さんのイメージも加えながら歌うことで本当にカッコいいものができたと思います。
ーー同じエレクトロテイストでも、「Just mean it!」はまた違った雰囲気を持つ楽曲ですね。
上田:「Just mean it!」はオシャレで大人っぽい曲だなと思ったんですけど、歌詞を読んだら「限界を超えていこう!」というすごくストイックな内容で。ただ明るく「みんなで頑張ろう!」というよりは、自分の中での自分との戦いを表したカッコいい曲に仕上がっています。
春乃:私は最初に聴いたときに「私たちに歌えるのかな?」と不安でした。でも、レコーディングして完成した曲を聴くと本当に声も大人だし、淡々としていながらも意思が強く表れたカッコいい歌になっていて。お気に入りの1曲です。
ーーこれまでは縦ノリの曲が多かったですが、このアルバムは横ノリが中心ですものね。そこにおいて歌い方やノリ方を意識して変えたりしているんですか?
上田:歌うリズムは縦を意識するけど、声にしたら横っぽい感じとか、表すのがすごく難しかったです。
希山:今まではフレーズごとに切って歌うことが多かったんですけど、今回は滑らかにつなげて歌ったり強弱をつけたりしていて、そういうのが難しかったです。
「Over」の雰囲気が締めくくりにぴったり
ーー皆さんの中で、現時点でのオススメの1曲はどれでしょう?
希山:最初に聴いてビビッときたのは、「Dear My Blues」。聴いたことあるような懐かしい感じがして、最初から「好き!」って思いました。歌詞も「今は不安なこともあるかもしれないけど、一緒に乗り越えていこう」と前向きで背中を押してくれるような内容なので、聴いていると「は〜」って自然と心が温かくなるんです。
上田:本当にどれも好きなんですけど、タイプ的には「Just mean it!」や「Dancer in the night」の雰囲気がすごく好きで、みんなの声や歌い方が大人になったからこそ表現できた曲だと思うんです。しかもダンスが激しめなので、ライブで観てもらうと印象が変わるんじゃないかな。
春乃:私は「OiSa」かな。メロディがシンプルでフレーズの種類は少ないですけど、それが繰り返されるところに中毒性があって、ずっと頭から離れないし。最近振り付けが加わったら、それもすごくカッコよくて、さらに好きになりました。
瀬田:今回は大人っぽい曲にたくさん挑戦したんですけど、そういう曲があるからこそ「OTOMEdeshite」みたいに可愛らしい曲が映えるなと思っていて。可愛いくて女の子っぽいセリフがたくさんあって、このアルバムの中でも一番アイドルっぽい曲なんです。この曲みたいなドラマとか映画があったら観てみたいなあ。
上田:みんなが好きな女の子像が表されているし。
ーーこの曲でMVを作るとしたら、そういうストーリー性がある作品ができそうですよね。
希山:メンバーで男の役と女の子役に分かれて演じたりしてね(笑)。
ーーそれ、いいですね。星野さんはいかがですか?
星野:私は「Over」がすごくお気に入りです。ライブで最後に披露することが多いんですけど、曲の雰囲気が締めくくりにぴったりだし、一体感が出てみんな幸せな気持ちで終わることができる曲なんです。もっとたくさんライブで披露したいですね。
ーーアルバムでも最後にこの曲があると、ホッとしますね。
上田:私たちにとっても、今までいろんなストーリーがあって、それを乗り越えてきたからこその「Over」なんです。