欅坂46が見せた、“櫻坂46”として新たな坂を駆け上る姿 5年の軌跡を凝縮したラストライブDAY2レポート

 10月12から13日の2日間に渡り開催された配信ライブ『欅坂46 LAST LIVE』で5年間の活動に幕を閉じた欅坂46。ライブの最後には櫻坂46としての新曲もサプライズ披露され、早くも新たな活動がスタートした。

欅坂46から櫻坂46に

 ライブ中の新グループ登場と言えば、同じ坂道シリーズの日向坂46が昨年3月に開催した『日向坂46 デビューカウントダウンライブ!!』が記憶に新しい。けやき坂46として開演した前半と、日向坂46として開演した後半とでくっきりと分かれた二部構成を見せ、まるで公演中に卵から孵化するかのごとく新しいグループの誕生を祝う感覚があった。(参考:日向坂46、2部構成で表現した“けやき坂46”への別れと新たな始まり デビューライブを振り返る

 それに対して、今回の欅坂46の公演はあくまで欅坂46のラストライブで、その晴れ舞台の最後の最後に櫻坂46が出現するという構成である。全体を通してどことなく”前進”していくモチーフが多かったため、欅坂46の活動の延長線上に櫻坂46があるようなイメージを受けた。メンバーたちが大きな門をくぐり、ステージへとゆっくり歩いていく開演の仕方も印象的。2日間のテーマは「静と動」で、そのうち2日目は”動”であったという。(参考:欅坂46 森田ひかる公式ブログ

 それにしても、これぞ欅坂46というような演出への強いこだわりには今回も驚かされた。今までのように“水”と“光”を効果的に用いた演出もありつつ、前回の7月の配信ライブ『KEYAKIZAKA46 Live Online, but with YOU!』のような配信ならではの演出も今回はさらにパワーアップ。1曲あたりにここまでアイデアを詰め込むかという演出への熱量は歴代の彼女たちのライブの中でも最高水準だろう。

 たとえば、これまではどちらかといえば横一列、あるいは平面的に見せていた「太陽は見上げる人を選ばない」は、円形や三角形にフォーメーションを変えながら、国立代々木競技場第一体育館の上方から俯瞰で映し出す奥行きたっぷりのカメラワークで“立体的”に映し出す。こうすることで楽曲の世界観がより広がった印象を受け、会場全体に照射するミラーボールも相まってちょっとした宇宙空間で歌っているかのようだった。

 大量のスモークの中で弾けるダンスを披露した「砂塵」やワイヤーを使った「風に吹かれても」など、“再現性”を追求する姿勢は実に彼女たちらしい。会場全体を使った「手を繋いで帰ろうか」は曲のストーリー性が見事に表現されていた。極め付けは、ダンサー集団と闘争するような迫力満点の「ガラスを割れ!」だ。もはや映画のワンシーンを見ているかのような血湧き肉躍る演出に、手に汗握りながら食い入るように見入ってしまった。

 けれども、ここまで新鮮に感じるのは、やはり彼女たちのパフォーマンス面も大きいように思う。正直こんなに良い表情をしている欅坂46は初めてである。憑き物が取れたようなさっぱりした雰囲気、満面の笑み、「ラスト楽しめー!」と叫んだ「危なっかしい計画」での解放感あふれる表情……そして最も鮮烈だったのが「10月のプールに飛び込んだ」での2期生だ。新曲でセンターに抜擢された森田ひかるを始め、2期生たちの若さあふれる躍動感に終始魅せられた。「今までこの曲でこういう表情を見たことなかったな」とか「この曲ってこんな見え方になるんだ」とライブ中に何度思ったことか。そういう意味では発見の多いライブでもあった。

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