all at once、『名探偵コナン』ED曲「星合」MVは織り姫と彦星の恋をどう表現? チームラボプラネッツ TOKYOコラボ制作の裏側
リアルとファンタジーが融合した未体験の空間演出
撮影には苦労もあったようで、「鏡貼りの空間ということで自分たちの映り込みを避けるのが大変でした。また、水に浸かりながらの撮影は、機材を濡らさないようになど、なかなかシビアな撮影になりました」と監督。また、通常のMVなら光や影などの陰影は、後日合成や編集を加えることも多いが、このMVではそういった手が、まったく加えられていない。監督が「編集では再現できない、現場のリアルタイムでの演出がお気に入りです」と話す通り、まさしく楽曲の持つ刹那が、映像にも表現されている。
またチームラボと言えば、これまでにもBUMP OF CHICKENやコブクロなどアーティストとのコラボが多数あり、チームラボプラネッツTOKYOからMIYAVIのオンラインライブが配信されたことも記憶に新しい。VRやCG合成といったものでは決して味わうことのできない、リアルとファンタジーが融合した未体験の空間演出は、チームラボプラネッツ TOKYOの真骨頂だと言える。「星合」という楽曲が持つ、美しくも儚い世界観を幻想的に表現したMVは、チームラボプラネッツ TOKYOだからこその映像で、現地に足を運べばall at onceのふたりとまったく同じ空間体験ができることも実に魅力的だ。
all at onceのメンバーふたりにとっては、この「星合」が初のMV出演になった。撮影当日は、かなり緊張していたと話すITSUKI。「でもチームラボプラネッツ TOKYOさんの幻想的な空間に魅せられて次第に緊張がほぐれ、撮影が終わるころには曲の世界観に合った素敵な空間で、自分の納得のいく表現で歌えたという達成感がありました」と、初のMV撮影体験を振り返る。
「シルエットを撮影するシーンで、“全身でリズムを取りすぎないように気をつけて”と指示を受けていたのに、つい気持ちが昂って思いっきり歌ってしまい、何度も注意されてしまったことが、スタッフさんにすごく申し訳なかったです」と失敗談を明かしたNARITO。「でも完成したMVを見た時には、とても素敵なシーンに仕上がっていたのでホッとしました」と、純粋でがむしゃらな彼らしい撮影エピソードを披露してくれた。
「星合」の撮影の舞台裏がもっと知りたい方は、26日に公開されたメイキング映像をぜひ見てほしい。また、同日公開のピアノコラボver.では、よりエモーショナルに楽曲が歌い上げられ、オリジナルとは違う魅力が発見できるだろう。さらに最新楽曲「JUST BELIEVE YOU」は、倉木麻衣を作詞に迎えた極上のR&Bナンバーに仕上がっている。一組のアーティストがアニメ『名探偵コナン』のOP/EDを務めるのは、今回が初。「星合」と「JUST BELIEVE YOU」の2曲が並んだ時、さらに大きな注目がall at onceに集まることは間違いない。
■榑林 史章
「山椒は小粒でピリリと辛い」がモットー。大東文化大卒後、ミュージック・リサーチ、THE BEST☆HIT編集を経て音楽ライターに。演歌からジャズ/クラシック、ロック、J-POP、アニソン/ボカロまでオールジャンルに対応し、これまでに5,000本近くのアーティストのインタビューを担当。主な執筆媒体はCDジャーナル、MusicVoice、リアルサウンド、music UP’s、アニメディア、B.L.T. VOICE GIRLS他、広告媒体等。2013年からは7年間、日本工学院ミュージックカレッジで非常勤講師を務めた経験も