嵐、新曲「Whenever You Call」で与えた2つの衝撃 ブルーノ・マーズの手腕から歌詞に綴られたメッセージまでを聴き解く

「Whenever You Call」に込められた嵐からのメッセージ

 さて、そんな本楽曲に込められたメッセージとは何なのだろうか? あくまで筆者個人の考えのためファンによって解釈は異なると思うが、やはり“活動休止を寂しく思うファンへの、嵐からのメッセージ”であるように感じている。それは、これまでの“Rebornシリーズ”の英語詞部分でも描かれてきた内容でもある。

 「Whenever You Call」というタイトルが示す通り、本楽曲の歌詞に込められているのは「君が必要な時には、いつでも駆けつける」という想いである。1番のAメロでは「たとえ遠く離れていたとしても、僕は君を闇から連れ出す光であり続ける」という決意が歌われ、Bメロでは「時間も場所も関係ない 僕たちを邪魔するものは何もないんだ」という力強い繋がりを訴える。そしてサビでは「君が必要な時には、いつでも駆けつけるよ。君への愛は変わらないんだ」という本楽曲のコアとなるメッセージが歌われるのである。歌詞では、“Promise=約束”という単語が2度使われており、このメッセージが「僕」と「君」の“約束”であることを、楽曲全体を通して表現しているのだ。

 たとえ活動を休止しても、嵐の作ってきた作品は永遠に残り続ける。デジタル配信も開始した今、私たちは時間や場所に関係なく、彼らの音楽やパフォーマンスにいつでも触れることができる。だから、もし辛い時や大変な瞬間があった際は、いつでも嵐の作品に手を伸ばしてほしいーーそんなメッセージを感じ取ることができるのだ。ちなみに、“闇の中にいるファンにとっての、光としての嵐”という表現は、前述の「Face Down:Reborn」でも同様に用いられており非常に興味深い。異なるプロデューサーが手掛けた違う楽曲にも関わらず、BloodPop®︎もブルーノ・マーズも嵐の存在を“ファンにとっての光”と例えているのである。

 また、個人的には本楽曲の歌詞について、もう1つ別の解釈も持っている。MVの構成を見ていてふと感じたのだが、本楽曲のMVでは2番以降、ソロパートでコーラスが入る際に別々の空間にいるメンバーが1つの画面に収まるという構図になっている。もしかしたら本楽曲には、“活動を休止して離ればなれになっても、必要な時にはすぐに駆けつける”という、メンバー同士の絆も同時に描かれているのではないだろうか。

 正直なところ、いまだ嵐が活動休止した先の世界を考えることは難しい。それでもタイムリミットとされる12月31日は、刻一刻と近付いている。嵐は世界中のファンに、より素晴らしい音楽を届けるためのチャレンジを続け、これまで本人たちも見ることのなかった風景を次々と私たちに見せてくれている。その事実に心から感謝を贈りたいし、「Whenever You Call」はそんな彼らの取り組みの集大成となる素晴らしい楽曲だ。

 そして、嵐はすでにその先の景色も見据えている。11月3日には待望のニューアルバム『This is 嵐』のリリースを控えているのだ。タイムリミットのギリギリまで高みを目指し続ける嵐の姿を、最後まで追いかけたいと思う。

■ノイ村
普段は一般企業に務めつつ、主に海外のポップ/ダンスミュージックについてnoteやSNSで発信中。 シーン全体を俯瞰する視点などが評価され、2019年よりライターとしての活動を開始
note
Twitter : @neu_mura

関連記事