アンジュルム 竹内朱莉&佐々木莉佳子が語る、メンバーの卒業を乗り越え手にした新たな確信 「今のアンジュルムの形を残したい」

 昨年2019年、スマイレージ(S/mileage)としての結成当初から10年間にわたってグループを率いてきた初代リーダーの和田彩花が卒業し、新たなスタートを切ったアンジュルム。しかし和田の卒業後、立て続けにメンバー3名がグループを去り、船木結の卒業も決定しているなど一見不安定な状況が続いている。にもかかわらず、現在のアンジュルムは充実感に満ちているようだ。それは一体なぜなのだろうか。

 リアルサウンドでは、8月26日にニューシングル『限りあるMoment/ミラー・ミラー』をリリースしたばかりのアンジュルムから、2代目リーダーの竹内朱莉との佐々木莉佳子にインタビュー。“あかりかこ”の2人が今のアンジュルムをどう見ているのか、じっくりと語ってもらった。(ナカニシキュウ)

佐々木「“タケさんがいてくれたら大丈夫”って思うことがすごく多いんです」

ーーグループの単独インタビューとしてはリアルサウンド初登場ということで、アンジュルムとはどういう人たちなのかというお話から聞かせてください。まず、竹内さんから見て佐々木さんはどんな人ですか?

佐々木:気になる。

竹内:目の前で言うの、超恥ずかしい(笑)。りかは隣にいてくれるとすごく安心するというか、心強い人ナンバーワンですね。パフォーマンスもめちゃくちゃカッコいいですし、見ての通りきれいな顔面を持っていて、スタイルもすごくいい。完璧なんです。……けど!

佐々木:「けど」! ちょっといい感じのことを言っておいて!

竹内:本当に変な人なんですよ(笑)。ここまで面白い人には初めて出会いました。普通に話してても顔芸かっていうくらい表情がコロコロ変わるし、突然変な擬音を発したり……。とにかく見ていて飽きないです。

佐々木:ヤバい奴みたいじゃないですか(笑)。

竹内:そんなふうにカッコよかったり面白かったりする一方で、めちゃくちゃ泣き虫なところもギャップがあってかわいい。ものすごくキャラが立っている子です。

佐々木莉佳子

ーーなるほど。逆に、佐々木さんから見た竹内さんは?

佐々木:タケさんこそパーフェクトな方だし、リーダーになる前から「タケさんがいてくれたら大丈夫」って思うことがすごく多いんです。あと、ライブでの煽りがすごく上手で。私も最近はライブで煽る機会もあるので、いつかタケさんみたいに上手に煽れるようになりたいですね。パフォーマンス面も含めてすごく尊敬してますし、憧れの先輩です。……でも!

竹内:あれ? 同じパターンかな?

佐々木:タケさんもなかなかヤバくて(笑)。卒業した室田瑞希っていうメンバーがいたんですけど、その子とタケさんが組むと、もう最強くらいにうるせえ。「うるさい」んじゃなくて「うるせえ」んですよ。すぐ無茶振りしてくるし。みんなでご飯を食べてるときに突然「ラップして!」とか。まあ、みんなノリでやっちゃうんですけど(笑)。

ーーみんながわちゃわちゃしてるのをリーダーとして冷静にまとめるというよりは、一緒になって騒いでいる?

佐々木:そうですね、部活の部長みたいな。リーダーっていうより部長。

竹内:私が一番騒いでるもんね。

佐々木:後輩の子たちがちょっと落ち着いてたりするから、私たち2人がすごく目立っちゃって。

竹内:「静かにしてください」とか言われるもんね。「竹内さん、うるさいですよー」って(笑)。

佐々木:そうやってタケさんに言えちゃうくらい、いい関係性なんです。上下関係はきちんとありつつも、なんでも言いやすい。タケさんの人柄がそうさせてるんだろうなって。

竹内朱莉

ーーお2人以外で、アンジュルム初心者が注目すべきメンバーを教えてください。

佐々木:みんなに注目してほしいけど……。

竹内:入口としてわかりやすいのは、上國料萌衣ちゃんですね。かみちゃんはビジュアルが完璧で、たぶんみんな好きな顔だと思います。見た目は“高嶺の花”みたいな感じなんですけど、中身はぶっ飛んでて(笑)。「黙っていられないのかな?」っていうくらい、ずっと喋ってるか歌ってるかの二択なんですよ。それも、J-POPとかじゃなくて合唱曲とかをひたすら裏声で歌っているという。

ーー歌のお姉さん的な。

竹内:そうです。あと、自分が聴きたい音楽をイヤホンで聴くんじゃなくて、「みんなで聴こう!」って大音量で流します。そして、疲れてくるとダル絡みが激しくなって、何周かすると壊れ始める(笑)。すごく面白い子ですね。

佐々木:アンジュって、黙ってるとみんないい感じに見えるんですけど、喋りだすと「え、大丈夫?」って子が多い(笑)。

竹内:そんな子ばっかりですよ。だから、アー写が一番いいです(笑)。

佐々木:不思議なことに、入ってくる子入ってくる子みんなそんな感じで。最初は静かな子に見えても、あるとき急に一皮むけるというか。

竹内:それこそ笠原桃奈ちゃんとか、今でこそアンジュの特徴を一番表しているくらいの強烈な子なんですけど、入ってきたばかりの頃は誰とも話しませんでしたし。「携帯が友達」くらいの感じだったから、こっちもなかなかコミュニケーションが取れなかったんです。けど、みんなで遊園地にプライベートで遊びに行ったことがあって、そこでジェットコースターに乗った瞬間……。

竹内・佐々木:「フォーーーーー!!!」。

竹内:って急に覚醒して(笑)。「こんな子だったの!?」みたいな。そこからはどんどん自分を解放して、パワーアップしていきました。みんなそういう感じになっていくんですよね。すごい子ばっかり集まるなあと(笑)。

竹内「モンスター級のメンバーが揃いました」

ーーでは、たとえば初心者の方に「アンジュルムってどんなグループなの?」と聞かれたらどう答えます?

竹内:よく言われるのは、「動物園」ですね。裏側は本当にうるさいですし、「何歳が遊んでいるの?」っていうぐらい、本当にしょうもないことでキャッキャできる感じなんです。でも、いざステージに立ったらめっちゃカッコいいグループだなって思いますね。自分でもパフォーマンスしながら「今、客席から観たらカッコいいんだろうなー」って思うくらい(笑)。

佐々木:“強い女性”を表現する曲が多いからか、みんなが想像する「ニコニコ楽しく」みたいなアイドル像からはちょっと離れているんです。MC以外で笑う場面がほとんどないみたいなこともあるし、明るい曲も少なくて。スマイレージからアンジュルムに改名したばかりくらいの頃は、楽しい感じの曲もあったんですけど。

竹内:あるときを境に“強い女性像”みたいな曲をいただくことが増えました。それってたぶん、私たちがそれにふさわしい人間になったからだと思うんです。

ーー普段は「何歳だよ」的なわちゃわちゃした集団なのに、似合う曲はカッコいい系であると。その両端が違和感なく成立するというのは、かなり異常なことですよね。

竹内:異常(笑)。

佐々木:褒め言葉だ。ありがとうございます。

ーー個人としては、ご自分のキャラクターを存分に出せていると思いますか?

竹内:むしろ「少し引っ込めないと」くらいに思ってますね。出しすぎなので(笑)。

佐々木:裏表がないというか、みんな本当に素のまんまステージに立ってる。

竹内:新しく入ってきた子が最初は絶対に埋もれちゃうので、かわいそうだなって思います。でも、私たちも引っ込められないから(笑)、「がんばって入ってきてね」っていうスタンスで。それこそ、りかが入ってきたときもMCとかでなかなか振ってあげられなくて。元からいたメンバーで盛り上がっちゃうから(笑)。

佐々木:洗礼を受けましたね。

竹内:アンジュは基本みんなそうです。最初は振ってあげたりもするけど、どんどん振らなくなる。「あなたが自分から入ってこないと、もう喋れないからね」みたいな感じでやってたら、いつの間にかモンスター級のメンバーが揃いました(笑)。

ーープロスポーツの世界みたいですね。最初だけは出番を与えるけど、あとは実力で勝ち取りなさいっていう。

竹内:本当にそうですね。「そうしないともう見せ場は来ないよ」って。

ーーそれってハロー!プロジェクトの体質なのか、アンジュルムの体質なのかでいうと?

竹内:たぶん、アンジュだけだと思います。べつに厳しくしているつもりはないんですよ。単にこっちも喋りたいというだけで(笑)。

ーーパフォーマンス面ではどうでしょう。最近は『Hello! Project presents…「ソロフェス!」』や『Hello! Project 2020 Summer COVERS 〜The Ballad〜』など、ソロでステージに立つ機会も多いですし、「自分なりの表現ってなんだろう?」と考える時間も増えたんじゃないかと思いますが。

竹内:『ソロフェス!』では、私は松浦亜弥さんのバラード曲「砂を噛むように…NAMIDA」を歌わせていただきました。こんなことを言ったらアレなんですけど、実は消去法でバラードを選んだんですよ。あのときは体力も落ちてましたし、マイクを持ってパフォーマンスすること自体かなり久しぶりで。

ーーなるほど、“自粛なまり”じゃないですけど。

竹内:ずっと家でゴロゴロしかしてなかったので(笑)。しかも私、緊張しいなので、ソロがこの世で一番苦手なんですよ。ご褒美でもなんでもない(笑)。過去にやったバースデーイベントとかも含めて、一度もソロで踊ったことがないんです。恥ずかしくて。だから、踊らない曲というとバラードしかないなと思って……。昔から、そもそも人前に出るのが得意じゃなかったんですよね。なんでこの仕事やってるんだって言われそうですけど(笑)。

ーー勝手なイメージで、竹内さんは「生まれついての目立ちたがり屋」キャラなのかと思っていました。

竹内:小さい頃は極度の人見知りでした。お母さんにしか抱っこされたくなくて、お父さんでもダメみたいな。その点、りかは『ソロフェス!』でも本当に堂々と踊ってて、あんなふうに1人で踊れたら楽しいだろうなあと思って見てました。

佐々木:絶対できるのに。私、タケさんのダンス大好き。

ーー佐々木さんはこの期間、自分なりの表現について何か考えたりしました?

佐々木:自分の中では、2年前の春にやった「十人十色」ツアー(『アンジュルム コンサートツアー 2018春 十人十色 +』)がターニングポイントになっています。その時期は自分のパフォーマンスに納得いかなくて、一番迷ってたんですよ。でも、当時16歳の私はどういう努力をしたらいいのか本当にわからなかった。そんなとき、目標にしたいと思える方のパフォーマンスと出会って変わったんです。努力すべき方向性が定まってきたというか、「もっといろんな表現をしたい」という欲が出てきました。

ーーなるほど。ちなみに、その目標とする方というのは?

佐々木:パク・ジミン(BTS)さんという方なんですけど。男性なのに可憐な動きもできたり、表現力がすごくて本当に尊敬しています。それを見て、「じゃあ、私にはその逆ができるんじゃないか?」というところから、男性的な動きを取り入れてみたり、中性的な雰囲気に挑戦してみたりするようになって。そういう努力を積み重ねていって、いつか私にしかできない表現を確立したいですね。今は実力的にもまだまだですけど、私自身も誰かの憧れになれたらいいなとも思いますし、アンジュルムのためにも自分のためにも、もっともっとパワーアップしていきたい。そういう意味では、今は安定しています。また迷う時期が絶対来るでしょうけど。

ーーそれはたぶん一生ついて回ることだと思います。

佐々木:それがなくなったら表現者として終わりですよね。表現にゴールはないですから。

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