いま注目の10代バンド、リュックと添い寝ごはんとは 初の配信ワンマンライブを目前に、これまでの歩みと魅力を分析

 『青春日記』のリリースと同じ時期、今年3月に高校を卒業した3人。そこから約5カ月後、8月19日に配信リリースされた新曲「生活」からは、新たな扉を開かんとするバンドの意欲が伝わってきた。ベースが半ばソロに近いプレイをするイントロからしてまず新鮮。ベースに引っ張られる形で全体のグルーブが増しているし、ドラムはリズムパターンが豊富になっているし、ギターもリズミカルな動きが増えている。歌心はそのままに、自然と身体を揺らしたくなるようなサウンドへと変化した。歌い出しは〈空っぽな時が少し増えてきた/体はまだ動かないままで〉で、おそらくこの曲の歌詞は、コロナ禍を受けて書かれたものだろう。せめて笑顔を忘れずにいよう。ちゃんと心は踊らせてあげよう。そんなメッセージを読み取ることができる。

 メンバーが出演するMVは、画質をあえて粗くしている箇所もあり、全体的にレトロな質感だ。過去のインタビューで松本が「ネオ昭和」というワードを出していること(参照:CINRA)や、松本がInstagramにアップしている写真のテイストなどを鑑みると、MVの世界観はメンバーの趣味を反映したものと推測できる。それこそ昭和レトロやフィルムカメラなど、自分たちがリアルタイムで生きていない時代の“昔っぽい”ものに対して、若者が“エモい”という言葉を使う事象をよく見かけるが、それに通ずる感覚をこのMVからも感じる。

リュックと添い寝ごはん / 生活 [Music Video]

 新曲「生活」を携えて、8月26日には配信ライブを行うリュックと添い寝ごはん。ライブのタイトルは『ワンマンショー in お茶の間』で、会場はTSUTAYA O-nest。元々、新型コロナウイルスが猛威を振るう以前から、この日にO-nestで初ワンマンをすることが決まっていたが、現状を踏まえ、配信での開催に切り替えたそうだ。とはいえ、初ワンマンとは、言うまでもなくバンドにとって記念すべきもの。状況が落ち着き、観客を入れた状態でライブができるようになるまで初ワンマンは行わないという選択もあり得たはずだが、そうしなかったのは、自分たちの曲およびライブをいち早くファンに届けたかったからなのか。聴いてくれる人に音楽を通じて今伝えたい想いがあったからなのか。初ワンマンを先延ばしにせず、今スタートを切ることがバンドにとって大事だと判断したからなのか。

 いずれにせよ、前に進む選択をしたリュックと添い寝ごはん。当日はメモリアルなライブになることは間違いないだろう。来週を楽しみにしていたい。

■蜂須賀ちなみ
1992年生まれ。横浜市出身。学生時代に「音楽と人」へ寄稿したことをきっかけに、フリーランスのライターとして活動を開始。「リアルサウンド」「ROCKIN’ON JAPAN」「Skream!」「SPICE」などで執筆中。

リュックと添い寝ごはん「生活」

■リリース情報
リュックと添い寝ごはん 配信シングル「生活」
8月19日(水)配信スタート(RICE RECORDINGS)
ダウンロードはこちら

■ライブ情報
『リュックと添い寝ごはん ワンマンショー in お茶の間』
2020年8月26日(水)19:00配信開始予定
Streaming+にて配信
※ライブ配信開始~24時間のアーカイブあり<受付終了:2020年8月27日(木)17:00>

・チケット発売中<¥1,800(税込)>
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