THE RAMPAGE 川村壱馬×RIKU×吉野北人、スリーボーカル編成の魅力 各メンバーの歌声の特徴も分析
「SWAG & PRIDE」から考える構成の魅力
THE RAMPAGEの魅力を語る上で外せないのが、そのパート構成の妙技だ。今回は川村と吉野が中心人物を務めた映画『HIGH&LOW THE WORST』の劇中歌でもある「SWAG & PRIDE」を通して、特に多くの楽曲でみられる川村→RIKU→吉野という構成を中心に分析していく。
1番サビ(1:20~)に使用されているのが、川村→RIKU→吉野という構成である。まず、この曲のロックサウンドとも非常に相性の良い川村の歌声が切り込み隊長的な役割を担い、サビ冒頭から強いインパクトを生む。そしてその後に来るRIKUの歌声は、2人の声質の差により少し遠くから倍音を伴って響いてくるように感じられる。これにより川村が作り出した歌声の力と勢いがRIKUのパートでさらに増幅し、大きく広がっていくように聴こえるため、非常にパワフルな印象を与える。そして最後に吉野のパートに切り替わり、そのシャープな歌声でボーカルラインが引き締まって終わることで、さらに心地良い切れ味が生まれる。この“力の増幅と流動”が、川村→RIKU→吉野という構成の魅力だ。
さらに、この「SWAG & PRIDE」に関しては終盤に畳みかけられる見事な展開にも言及しておきたい。間奏を挟んだ後に来る最後のサビ(3:14~)はRIKUの歌声とブレイク(=伴奏を意図的に止めて作られた空白部分)により、こちらへ投げつけられるような勢いで始まる。そこから吉野のパートでボーカルラインが再び引き締められ、若干の緊張感が生まれる。そしてRIKUのコーラスが隙間を繋いだ後、最後に再び川村→RIKU→吉野のサビが始まる。こうして、段階的に積み重ねたテンションの高まりにより、川村の歌声が1番サビよりさらに強い迫力を持って響く仕組みになっているのだ。
このように、THE RAMPAGEの楽曲にはスリーボーカル編成の魅力を最大限にするために計算された構成の妙技があり、それが「この3人でなくてはならない」と思わせる圧倒的な聴き心地の良さを生んでいる。
THE RAMPAGEは、9月30日にニューシングル『FEARS』のリリースが決定している。表題曲は8月29日にスタートするフジテレビ系ドラマ『恐怖新聞』のために書き下ろされた楽曲で、“見えない存在への恐怖”が表現されたロックバラードとなっている。様々な音楽ジャンルに挑戦する中でまた新たな歌唱表現を獲得していくスリーボーカル、その進化に今後も期待していきたい。
■日高 愛
1989年生まれの会社員。『HIGH&LOW』をきっかけに大ファンとなったTHE RAMPAGEを中心に、LDH所属アーティストについて研究中。
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