IZ*ONEの実像と魅力に迫る映画『EYES ON ME : THE MOVIE』 努力を惜しまず、ファンを思う12人の姿

 もうひとつ印象的なシーンをあげるとすれば、ステージ上のメンバーたちのコメントである。リーダーのウンビは目を潤ませながら「悲しいことも辛いこともWIZ*ONEのおかげで乗り越えられた」と感謝の言葉を口にする。ユジンも「満員のコンサート会場にいる夢から覚めたとき、ひとりぼっちになったと思い悲しくなった。今日来てくれたみんなもコンサートが終わったら、こんな気持ちになるのかなと思いました」と大粒の涙をこぼす。ファン思いのIZ*ONEらしいエンディングは、コンサート会場に訪れた人と同様に劇場の観客にも大きな感動を与えたことだろう。

IZ*ONE『Oneiric Diary(幻想日記)』

 IZ*ONEは2020年9月13日にオンラインで単独コンサート『ONEIRIC THEATER』を開催する。前述のアジアコンサートツアーから約1年2カ月ぶりということで、ファンの期待もかなり高まっている。タイトルから想像できる通り、今回は現時点での新作『Oneiric Diary(幻想日記)』からのナンバーを中心にしたセットリストになりそうだ。

 オンラインならではの仕掛けもふんだんに盛り込まれるのは間違いないが、パフォーマンスは『EYES ON ME : THE MOVIE』での「AYAYAYA」と「SO CURIOUS」で見せたスタイルをさらにブラッシュアップしていくのではないかと推測している。花をモチーフにした楽曲でグループのスタイルを確立した彼女たちは、従来のイメージを壊すことなくよりアグレッシブに進むはずーー。YouTubeで公開されている「Merry-Go-Round(回転木馬)」(『Oneiric Diary(幻想日記)』収録)の歌と踊りを観ていると、その予想はあながち外れていないような気がするのだ。さて、結果はどうなるか、『ONEIRIC THEATER』の開催を楽しみに待ちたいと思う。

■まつもとたくお
音楽ライター。ニックネームはK-POP番長。2000年に執筆活動を開始。『ミュージック・マガジン』など専門誌を中心に寄稿。『ジャズ批評』『韓流ぴあ』で連載中。ムック『GIRLS K-POP』(シンコー・ミュージック)を監修。K-POP関連の著書・共著も多数あり。

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