『IDOL舞SHOW』X−UCのフレッシュな魅力 個性豊かなメンバーが躍動した、初の無観客配信ライブを振り返る

 イベント中盤のコーナー企画では、「メンバーのポジティブな側面を掘り下げよう」というテーマに。ここでは、鈴木杏奈(百合ヶ丘みさき役)が花谷の趣味に触れたのだが、花谷の口から出てきたのは、「花札とゲームと“シリアルキラー”の心理調べと、ギターと自衛隊と洗車が好きです!」という多趣味ぶり全開のラインナップ。彼女のユニーク具合はユニット随一のようだった。

 また、「遊園地デートのお化け屋敷で彼氏が怯えていたらどんな一言を掛ける?」という一言萌え台詞を考えるテーマでは、「私の顔見てれば、大丈夫でしょ?」と、ウインク付きで答えたのが“石飛プロ”。そんな彼女の回答を“フリ”にさえしてしまうのが、北原侑奈(霧野しおり役)の「私も怖いから、守ってほしいな」という、模範回答といえる恥じらいながらの一撃だった。これにはスタジオの全員が「かわいすぎる!」と手放しで大絶賛し、鷲崎も「今日、アクキー(アクリルキーホルダー)発売してたら絶対に買うもん」と、イベント後のファン“あるある”に喩えて褒め称えていた。

 イベント終盤にはライブパートとして、「カレント・ザナドゥ」と初披露となる「Papier Mache IDOL」を歌唱。なかでも後者は、前述したメンバーの解説通り、アイドルだからこそ強く感じる苦しみを歌うような、切迫した雰囲気の楽曲だ。しかしながら、メンバーが入れ替わり立ち代わりにフォーメーションを切り替え、客席に背を向けたところから始まる大サビのソロパートでは、一人ひとりがキュートにくるりと振り返る場面など、こういった曲調だからこそ、アイドルとしての愛らしい姿がむしろ強調されていたとも感じられる。

 最後の挨拶では、酒井美沙乃(安奈あき役)が「今回は配信という形になりましたけど、生のX−UCは5億倍すごいので、ぜひ観にきてくださいね!」と、今後への期待感を高めてくれる。また、諏訪ななか(羽美野りさ役)も「10人も居るユニットなので、ぜひ推しを1人でも2人でも10人でもいいので見つけていただけたら」と、思わず“箱推し”になってしまいそうになる温かいコメントで締め括ってくれた。

 今回の生配信イベントから伝わった通り、個性豊かなメンバーと力強い楽曲揃いのX−UC。彼女たちであれば、『IDOL舞SHOW』で描かれるアイドル戦国時代を駆け抜けて、見事なまでの“天下取り”を成し遂げてくれるに違いない。

◼︎一条皓太
出版社に勤務する週末フリーライター。ポテンシャルと経歴だけは東京でも選ばれしシティボーイ。声優さんの楽曲とヒップホップが好きです。Twitter:@kota_ichijo

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